ワイバーンホライズンズ~ゲーム作家の俺がログアウトしくじったら自作の龍を退治する羽目になったんだが

それから顔を上げてカルバートを見る「奴を見つける方法はあるぞ」自信に満ちた目つきに不敵な笑みを浮かべている「ほう。本当か? どうやってだ」アルバートが尋ねる
「簡単な事だ。奴に殺された者達に話を聞いて回ればいい」カルバートの目が血走った「確かに奴は死人を操っていた。アルバート、お前を洗脳したようにだ」そして二人は意気投合した
「アルバート。これからどうする? 私は君を全面的に信頼しているが、まずはこの世界の住人に聞き込みをするのが妥当だと思う」アルバートの脳裏にいくつかの記憶が浮かんでくる。「まずは、酒場に行って情報収集をするんだ」そして、二人は連れ立って歩き始める「わかった。その案を採用する」そして酒場に到着、「よし、入ろう」そしてアルバートの視界に飛び込んできたのは・・・カルバートの裸踊りだった
『え?!』
アルバートの表情が強張る
「おいおい、一体何をやってるんだよ。早く服に着替えてくれよ!」カルバートが顔を真っ赤にする「ししししし、仕方ないだろ、服を着てる最中は攻撃されるし」慌てて言い訳を始める「い、いい加減にしてくれ、俺はお前のお色気シーンを見たくてここまで付き合ったんじゃないんだ!」
「わかってるよ。だからこうして急いでるんだ!」カルバートが怒鳴る「頼むよ」アルバートが泣きを入れる そして・・・二人のやり取りに呆気に取られる店内・・やがて沈黙を破り一人の男が口を開く「なんだってばよぉおおお!うぉおおお!」
「おっさんうぉおおお!」
二人同時に叫ぶ「うるさい黙れ!」店主の叫びに静寂が訪れる。そして、ようやく事態を飲み込む男達、女達は我関せずで各々のグラスを傾ける。やがて、誰かが口を開いた。「もう遅い。とっとと飲んで食って寝ちまいな」それは店中に伝播していき喧騒の中に消えていく。「さあ、あんたも食べな」と店主。アルバートとバーグマンは肩を並べて料理を口に運ぶ。
「うまい!」「うむ」そして二人はジョッキでビールをあおる。「ふーう、うまい!」「ぷはあ!」アルバートとバーグマンの目に希望が戻る「腹が減っていたのを忘れるところだったぜ」
「アルバート、あれはなんだ?!凄まじいな!」興奮するアルバートにカルバートが答える「あそこは竜殺しの英雄を称える為に作られた施設だ。普段はただの看板だが、イベントが行われると大掛かりな仕掛けが動くんだ」そして二人が席を立つ「行くのか」店主の言葉にアルバートが振り向く「まあね」そして店を後にする そして、場面は変わって広間の中心に立つアルバート、傍らには巨大な肉の塊がある「これは俺への供物かな」そうつぶやくとアルバートの意識が急速に遠のいて行く「これは!やばい、逃げなければ」しかし体は動かない
・・・・どれくらいの時間が過ぎただろうか?・・・アルバートは目覚めた(夢・・・なのか)自分の両手を見てみるが、あの禍々しい姿ではなく人間の姿に戻っている。
そして、アルバートは辺りを見回す、周りは薄暗く蝋燭のような光が周囲をぼんやりと照らしている。
そして今まさに、カルバートが姿を現した。彼を止めねば、そう思うものの身体が動いてくれない。バーグマンの裏切りは彼を失意のどん底に突き落としていた。
その時、背後で轟音が響いて地鳴りが始まった。
カルバートが振り返って舌打ちをした。
「もう嗅ぎつけてきた」
彼の言う通りだ、すでに洞窟の中から無数の羽音が聞こえている
「ここは奴らの縄張りだ、見つかるのも時間の問題だろう」
そう言ってバーグマンは剣を抜き構えを取った
「そうだな、戦うしかないか」
そうカルバートは答えたが何か様子がおかしい彼は右手を掲げてなにかを呟いた次の瞬間カルバートの右手から火球が発射されて壁に当たり爆発を起こした。
「やめろよ、こんなところで魔法はダメだろ!」アルバートは焦って叫んだ
「しぃっ、静かに、やつらが来るぞ」カルバートの声が震える
「すまん」カルバートの指摘を受けて謝罪するが心臓が破裂しそうなほど脈打っている。そして、耳障りな羽音が近づいて来る
「どうする? ここで迎え撃つか?」
「・・・・・・逃げるべきだな」
アルバートは決断した「どこへ?当てはあるの?」
そう尋ねた時だ、洞窟の奥から複数のドラゴンが姿を現すそして、ドラゴンたちが炎を吐き始めた。火炎は渦を巻いて燃え広がる、あっという間に洞窟内を焼き尽くす勢いである
「こいつらは普通の生き物ではない」そう言ってバーグマンが前に出た
「どうするつもりだ?!無茶はやめて戻ろう!」
アルバートの制止をバーグマンは無視して剣を構えた そして彼は、燃え盛る業火の中に飛び込んだ。
その刹那だ。一瞬だけ周囲が真っ暗になる 次に視界に入った光景は地獄絵図、先ほどまでは生きていたはずの魔物達が黒炭になって崩れ去っていた。
「なんだい? これは」