「「メリークリスマース!」」

炭酸ジュースのコップを、笑満と合わせる。

「ほら、頼も写真じゃなくてコップ持って」

笑満の部屋に広がるクリスマス装飾を写真に収めていた頼が、笑満に言われて自分の席に戻る。

今日クリスマスイブは土曜日で、朝から三人でお菓子を買いに行ったり、部屋の飾りつけをしたり、笑満主導でケーキを作ったりしていた。

笑満のおうちを会場にさせてもらっているので、笑満のご両親の分も、二つケーキを作った。

「めりくり」

真顔でそう言って、ごくごく飲みだす頼。

「頼は年末年始も通常運転だね」

私が頬杖をつきつつ言えば、笑満はチョコ菓子をかじりながら大きく肯く。

「それが頼だよ。咲桜、クラスのクリパ行かなくてよかったの?」

「ブーメラン。私が行っても珍獣扱いだし」

私もクッキーをほおばる。

「正しくは珍獣の飼い主でしょ。あたしも、変にみんなの機嫌うかがうよりはこっちのが楽だから」

「俺は声すらかけられてない」

頼が、特段落ち込んでもいない声で言ってきた。

「あ、一応気にはしてたんだ」

「ううん。咲桜と笑満が行くんなら行こうと思ってた程度」

「じゃあこの三人クリパでよかった、と」

「そういうことだね」

「そういうこと」

笑満の言葉にそろって肯く頼と私。私たちも中学二年のクリスマスなわけで……ちょっと訊いてみよう。

「笑満は彼氏ほしーとか、ないの?」