全てを話し終えても実感がわかないからか、彼女から涙は一つも出なかった。

「そんなことが……」
「はい、でもよかったのかもしれません。このままでは家のみんなに迷惑をかけることになります。私がいなければ……」
「リーズ」
「は、はいっ!」
「その考えはやめなさい。必要とされない人なんかいない。皆誰かの大切な人なんだ」
「でも、私にはもう頼る人は……」

 すると、二コラはリーズの手を優しく握って微笑みながら告げた。

「では、私の妻になりませんか?」
「……ほえ?」

 リーズは頭が真っ白になってしまい、スープを落としそうになる。

「ちょうど父上に縁談を組まされるところだったのでね、私はまだやらなきゃいけないことがあるんだ」
「良いのですか? 私で」
「君が、いい」

 そうしてそっとリーズのおでこに二コラの唇が触れる。
 顔を赤くするリーズにふふっと少し意地悪な微笑みを見せる二コラだった。

 こうして、リーズは二コラの妻となった──