ある日、フランソワーズとビルと一緒に遊んでいたリーズはニコラに呼び止められる。

「リーズ!」
「ニコラ、どうしたの?」

 馬から降りたニコラはリーズを抱きかかえて再び騎乗する。
 その様子はまさに騎士そのもので、リーズは顔を赤くしてドタバタした。
 ビルはその様子を見てひゅーひゅーと声をあげて、隣にいるフランソワーズに制止されている。

「降ろしてっ!」
「どうして」
「恥ずかしいから」
「大丈夫、みんな見てもリーズのことを可愛いって思って見てるだけだから」
「もうっ! そんなわけないでしょ」

 そんなことを言っていると、ごめん時間ないから飛ばすねと呟いたニコラを馬に指示を与えて走り出す。

「きゃっ!」
「しっかり俺に掴まってて」
「え、どこに行くの?!」
「ないしょ!」

 リーズとニコラを乗せた馬はまっすぐ森を抜けていく。
 初めて受ける風とあまりの速さにリーズはニコラにしがみついた。

「ふふ、君が抱き着いてくれるなら、今度また馬で出かけようかな」
「結構怖いわよ!」