スープに塩を入れた後、また手が止まって考え込んでしまう。

「──っ!!」

 スープのぐつぐつと煮えたぎる音でリーズは我に返って慌てて火を止める。
 煮込みすぎたスープはなんだか水分がなくなり、ドロドロ状態になっていた。
 鍋の縁にある焦げつきがスープの減り具合を表している──

(ダメだ、キャシーさんに相談してみよう。同じ女性ならわかるかもしれない……)

 リーズはエプロンを脱いで椅子にかけると、軽く髪を整えてキャシーの元へと向かった。



「恋だよ」
「へ?」

 リーズの悩みはいとも簡単に解決した。
 その答えに最初は頭が追いつかないリーズだったが、次第に脳内がクリアになってきたようで、顔を赤くして目をぱちくりさせている。
 ハーブティーを用意しながらキャシーは端的にそう答えたが、リーズのあまりの固まりぶりにちょっといきなりすぎたかしらと口元を抑えた。
 テーブルに二人ともつくと、リーズは口をパクパクさせながらキャシーに問いかける。

「その……恋ってその、あの」
「う~ん、まだ愛って感じじゃないだろうね~恋だね。うん」