リーズにも例外ではなくなかなか心を開かなかったが、それでも少しずつ通って遊んだり読み書きを教えるようになって、少しずつ彼女は笑顔を見せるようになった。

 そしてリーズ、ビル、フランソワーズの三人で近くの森にハイキングに出かけたときに巣から落ちてしまって、育児放棄された小鳥を見つけて連れ帰った。
 フランソワーズが面倒を見たいと言い、二人はそのサポートをすることにした──

 朝食を終えたリーズとニコラは食後のお茶で少し話をした。
 ニコラはこの後仕事だったために挨拶をして家を出る。

「しっかり戸締りするんだよ?」
「わかってるわよ」
「……浮気は」
「しないっ!!」
「ふふ、じゃあ、行ってくるね」

 リーズの額に唇をちゅっとすると、コートを羽織って家を後にした。

 ニコラを見送った後、リーズは二階に言って掃除をしようと雑巾で窓を拭き始めた頃、ふと外に目を移すと雪がちらついているのが見えた。

(もう、雪が……まだ冬の初めなのに……)

 例年よりも早くに振り始めた雪は、ふんわりと地面に落ちていく──


 その瞬間、リーズの身体にビリリと衝撃が走った。

「──っ!!」