翌朝、リーズはふとまだ日が昇って間もない時間に目が覚めた。
 隣にはすやすやと眠るニコラの姿があった。

(昨日、あれからうっかり寝てしまったのね……)

 と心の中で思ったところでぶわっと顔が赤くなる。
 昨日は結局ニコラが嫉妬に駆られて抱き着いて離さず、何度も甘く優しく撫でてはリーズの反応を見て楽しんでいた。

(もう……いくらなんでもやりすぎよ)

 そう言いながらざっとカーテンを開くと、後ろから大きな声が聞こえる。

「うわっ! まぶしっ!」
「ニコラ、起きなさい!」

 昨日の仕返しとでもいうように彼女はカーテンを大きく開けて、布団を剥ぐ。
 段々朝は冷えてきたこともあり、ニコラは剥がれた布団をいそいそと引き上げてぐるぐると自分に巻き付ける。
 そんな様子を見てリーズは、大声でわざとらしく言った。

「布団から出ない寝坊助には朝ごはんはないわね!」
「えっ!」

 ふふ、効果抜群と小さな声で呟くとそのままキッチンのほうへと向かってスープを温めた──


 テーブルの上には温かいコーンとブロッコリーのスープ、それからバゲットがあった。