「そ、それは困るわね……」

 そう言って、拾った付近にまた木の実を戻す。
 リーズの横をするりと通り過ぎてそのまま赤い木の実を加えると、彼女の持っているカゴに入れる。

「(これは旨い。甘くておいしいぞ)」
「本当?!」

 初めて知る情報を手に入れて嬉しくなり、ご機嫌な様子であたりを見渡す。
 カゴに入れてもらった実と同じものを見つけて拾い、スカートで軽く拭いて食べてみる。

「……あまい」

 ベリーのような甘さというよりも前にキャシーに振舞ってもらったプラムに似たような味だった。
 そしていくつか拾ってカゴに収めると、シロのほうへと戻っていく。

「物知りだね、シロは」
「(お前よりは長く生きているからな)」
「何歳なんですか?」
「(乙女に年齢は禁句だぞ)」
「シロは乙女じゃないでしょ……!」
「(バレたか……)」

(やっぱり魔獣は長生きなのかな?)

 なんてリーズは心の中で思っていたが、声に出すことはせずに優しく白い毛を撫でる。
 気持ちよさそうにする彼を見て、自然と笑みがこぼれた──