そんな彼女の幸せそうな表情を見て、ああ、連れてきてよかったなとニコラは思う。

「よかった、少しずつ村に慣れてきてたとはいえ、疲れもたまってるだろうし、美味しいものでも食べてほしかったんだ」
「もう、すごく美味しいです!!」
「んぐっ!」

 ニコラはリーズの破壊力抜群のきらきらの笑顔をまともに食らって、ケーキをのどに詰まらせる。
 紅茶を一気に飲み干すと、目をぱちぱちとさせながら言う。

「死ぬかと思った(いろんな意味で)」
「よかったです、マスター紅茶のおかわりありますか?」
「ああ、今持っていくよ」

 そんなことすら楽しくて甘くて、そしてリーズには新鮮で嬉しい日に感じられた。
 二コラが自分を見てくれている、それだけで嬉しくて、こうして二人でなんでもない日常を過ごせることが幸せだった。

「ニコラ」
「ん?」
「また来ましょうね!」
「ああ、いつでもリーズとなら来たいよ」

 ああ、若いな。
 なんてマスターは心の中で思いながら二人のことを見守っていた──