目が覚めるとそこは病院の一室だった。あたりを見回すと、先生がいた。
「先生。」
電話をかけていた先生に声をかけると驚いた様子でこちらを見ると安堵の声を漏らした。
「はあ〜、よかった。自分の生徒が意識不明になるなんて先生やって10年経ったいまでも初めてのことで焦ったよ。辛いところはな…」
先生の声を遮って質問した。
「星羅は無事ですか!?綾音は…」
「落ち着けって。明野は意識はまだ戻ってないが、一命をとりとめた。綾音は…」
その言葉の続きがなんとなく察しがついた。
「警察に連れて行かれたんですか?」
「ああ…」
話すことはためらっていたものの正直に認めてくれた。
「稲崎、いじめに気づいてやれずすまなかった。」
先生に頭を下げれたら普通は焦るものなのだろうか。でも、私は謝罪なんてどうでも良かった。
「先生、謝らなくて大丈夫です。気にしてないですし、先生に相談しなかった自分も悪いです。それより、星羅に会わせて下さい。自分の目で星羅が無事なのか確かめたいです。」
「ああ、わかった。」
 私は先生に連れられて星羅のいるという部屋に向かった。それは私の寝ていた部屋のちょうど真下だった。
「ここだ。」
先生がそういった部屋はICU(集中治療室)だった。マスクを付けて中に入ると酸素マスクをつけて寝ている星羅が目に入った。
「星羅。」
目を開けないとわかりきっている星羅に話しかけた。
「助けてくれてありがとう。でもね、私だって星羅のことを守りたかった。星羅が傷つくなんて嫌だよ。」
そう言うとなぜだか涙が溢れ出した。
「ねえ、目を開けて。私を一人にしないで。もしこの先、生きることが辛かったり困難になったりしたら手を貸すから。」
「お願いだから目を覚ましてよ!」
大声で泣き叫びながら星羅の力の入っていない手を握り続けた。