花火だ。とてもきれいに輝いている。どこか懐かしい花火。…お母さんと昔見た花火だ。思い出すたびに、涙がこぼれてくる。泣いてる、私。久しぶりに泣いている。
「みはみはです!あと三十分だよ。順調かな?がんばれ!では。」
あと三十分か。花火に見とれていたら、あっという間に時間がたったんだな…。でも、出口がない。どうすれば脱出できるのか。焦りが出てくる。少し早歩きになる。
『チャリン。』
?!何の音…。思わず下を見る。
「鍵…?」
ぴかぴか光っているような。
「おめでとうございます!愛彩さん。『かぎ』をゲットしました。鍵…ということは。と考えてみてください。そうしたら見つかりますよ!!以上、みはみはでした。」
脱出できるのじゃないんかい!!鍵ということは…。か。扉がどこかにあるっていうこと?そんなことを思っていると、扉が見えてきた。思わず走り出す。
「ハァ、ハァ。」
疲れてくる。
 扉の目の前になった。
『ガチャリ…』
古びた扉は音を立てる。…が、開かない。鍵、ささってるよね…。なんで。この扉を開けたい私、愛彩。どうすればいいものか…。古びている分開かないだけ。そう思う人もいるだろう。
ー違う。これは…。これは、本当に開かないのだ。このままでいいの?開けられなくていいの?ここまで来たのに。思い出の花火を見ただけ。何も変わっていない。まわりは知らない暗い所。だけど。私はこのまま帰れなくていいの?少し前から気になっている、あの子。髪がサラサラで、ぱっちりの二重で、優しくて、かっこよくて。ドキドキするあの子に。話しかけられたら、とてもうれしくて。顔が真っ赤になっていそう。耳まで熱いから、全部、全部あの子のものになりたくて。夢に出てきた日は、みんなに話したいくらい。とっても大好きなあの子、三上あおい。