あんなこと初めて言われた。「これから君の世界を楽しませてあげるよ」なんて。言われた途端はあんまり気にならなかったけど今になって気になってきた。「人」というものは、私には興味なくて、嫌いで、いらない人間だと思っているのかと私は思っていた。だけど奏は違った。初めて私にあんなことを言ってくれた。私は必要な人間なのかな。生きてていいのかな。
でも、またどうせ少したったら私のこと嫌いになるんだろう。私のこと見捨てるんでしょ。
知ってるよ。
みんな、みんなそうだったもん。
何もかも無関心で生きていくって決めたあの日からは、本当に何にも感情を出さず、家族とも話さず。そんな毎日を過ごしていた。
ちなみに「あの日」とは4歳の頃親に見捨てられ、親族中で嫌われ、友達もみんな私のことを見捨てた最悪の日だ。
その日からは毎日毎日死にたいと思っていた。
奏は優しい。
でもまだ信じている訳じゃない。
いつか信じれたらいいな。
奏は見捨てないよね?
怖いよ。
お願い。
見捨てないで。
なんてこんな願いは無惨にも届かないことをもう知っている。