私は抱きしめられながら
「なんで死のうとしたの?何が嫌だったの?何が辛かったの?教えて?」
と言われた。初めて会ったこの人に全て話すつもりはなかったけどなんか話したくなった。
「生きることに意味を感じなくなったから。褒めてもらうことも、慰めてもらうことも、応援してもらうことも。全て飽きたから」
「そうだったんだ。でもそんなことで死のうとするなんて勿体ないよ。これから僕が君の世界を楽しませてあげるよ!だから死なないで」
「うん。ありがとう。君の名前は?」
「水森奏だよ。君は?」
「平野渚」
「へぇー渚か。可愛い名前だね」
「奏もかっこいいよ」
「じゃあ戻るか」
「うん」
「どうか、君の世界に光が差し込みますように」
「え?なんか言った?」
「ううん。なんも言ってないよ?」
「そう。戻ろ」
この時奏がなにか言っていたような気がしたけどほぼなにも聞こえなかった。
「そういえばさ、渚はなにか好きな物はないの?」
「好きな物ねぇ、あ!あるよ。」
「朝日が大好きなんだ」
「え?あの朝に出る朝日?」
「そう。」
「へぇー珍しいね。」
「そういう奏はどうなの?」
「僕は、布団が好き!」
「うん。大体予想つくよ...」