シャネード様が高熱を出してしまった。
心配でたまらなくて、夜中もずっと寝ないで付き添う。
「ハァ……ハァ……」
額に触れるととても熱い。苦しそうに胸を動かして呼吸をしている。
薬草も使ったし、お医者様にも診てもらったので、問題はないはずだけど。
早く回復してほしいと願うばかりだ。
たまに瞳を開いて私の姿を確認すると、手を強く握ってきた。
皇帝という立場でいつも踏ん張りながら頑張っているから、心から甘えられる存在がいないのかもしれない。もしかしたら私には本心を見せてくれているのかも。
愛おしさがこみ上げてきた。
「セイラ……」
「大丈夫です、ここにいますよ」
翌朝、彼はすっかりとよくなっていた。
「セイラが看病してくれたおかげだ」
「いえっ」
長い腕が伸びてきて私の頬を包み込む。じっと見つめると「ありがとう」と柔らかい声で言ってくれた。
「いいえ」
無言でしばらく見つめ合って気がつけば私たちは唇を重ね合わせる。
突然のことだったので驚いて後ずさった。
キス。
キスキスキスキス!
ファーストキスをしてしまった!
心臓がバフバフと激しく鼓動を打って、耳の奥でキーンと音がし、こめかみの辺りで心臓の鼓動を感じる。
「好きだというのは、こういう感情なのかもしれない」
シャネード様は自らの胸に手を当てて穏やかな表情を向けてくる。
「セイラを思うと、幸せになるんだ。永遠にそばにいてほしい」
彼は皇帝。結ばれることはないとわかっている。でも素直に言ってくれたことが嬉しくて、涙がポロポロと溢れてきた。