「……家のことで、か?」
「うん……俺のせいで笑満ちゃん、友達とか作れなかったんだよ……その上――」
「松生には咲桜と日義がいるじゃないか?」
「……咲桜に助けられたんだよ。……さっき、聞いたばっか」
「――助けられた?」
「……俺で、……いいのかな……」
「なんだ、自信喪失か?」
「……自信なんて、あるわけねえよ」
「お前は結構自信家――」
「なわけねーだろ」
「――で、いていいと思うぞ」
「………」
言い切ると、遙音が不思議そうな顔を向けて来た。
「お前は自信持つに値する努力をしている。自意識過剰になってはいけないけど、お前はもう少し自分認めて、自信持っていいと思うぞ」
「………」
遙音は目をぱちくりさせている。
「……神宮が教師みてえ……」
「現職教師だ。お前の中で俺ら、高校生のままなんだろ」
俺は軽くため息をついた。
出逢った頃、俺たちは高校生で、遙音は小学生だった。遙音は今、出逢った頃の俺たちの年齢に追いつこうとしている。
……俺たちはうまくこいつを導けたんだろうか。
こっちに思いっきり足突っ込んで来やがるし、あまりよろしくない影響しか与えていない気しかしない。



