「……咲桜のたまに見せるカオってなに? えらく怖いときあんだけど」

「……咲桜は色々と平坦じゃない道生きてるんで。処世術で覆わないとああなるの」

「あ、いつもは覆ってるんだ……」

「異様に口悪いのに世話焼きになると、覆ってないときだね」

咲桜の立居振舞にそつがないと思ったら、そういうことか。

咲桜の生まれのことは、俺の出来る範囲でだけど調べてある。

笑満ちゃんから断片的に聞いた話も組み合わせて考えれば、大きな線に繋がる。

少し興味がわいて来た。

ずっと大事だった笑満ちゃんの親友になった子、というだけでは収まらず、笑っているところなんてみたことがなかった神宮を、でれでれにさせている後輩。

「どんなとき素になんの?」

「……流夜くんに遊ばれてるとき?」

マジかよ。神宮が喜びそうなネタ過ぎて笑いをこらえるのに口元を押さえた。やべえ、この組み合わせ面白すぎる……っ。

「……遙音くん、咲桜が気になる?」