「……やっぱ咲桜ってすげーな」

何回あいつに惚れ直すんだろう。

だから、さっさと用事を済ませて逢いに行こう。

「宮寺」

校舎へ戻ろうとしている背中を見つけて、呼びかけた。咲桜が選んだ場所がよかった。部活の生徒もいない辺りだった。

宮寺が振り返る。

「何か」

「お前、本当に口外しない気なのか?」

「喋ってほしいんだったら誰彼と言うけど?」

余裕のある構え方。これが基本的な宮寺琉奏――だが。

「高校のときの弁明をしたい。三分でいいから時間をくれないか」

「――――」

宮寺はただ、目を見開いた。