「アリッサさん、エリアス君にそんな言い方をしても、逆に喜ばすだけかもよ?」
「えっ?!オルガさん、どういうこと?」
「だってアリッサさんの言い方だと『働かないで贅沢をさせてもらって、たくさんの女の人を抱ける』て聞こえるわよ?」
「そういう風には言っていないけど」
「でもきっとエリアスは『ゆ、夢のような生活だ』と思ったはずよ。ね?エリアス」
「そ、そんなことはないよ(ど、どうしてそれを…)」
「そんなことを考えていたの?この子は!!」
そう言いながらアリッサさんは、俺の両脇のほっぺを両手で左右に引っ張った。
「イタタタタッ!!痛いよ、アリッサさん」
「あなたのことを心配して言っているのに」
「今度は私が言うわ、アリッサさん」
「お願い、オルガさん」
「いい、エリアス。よく聞いてね。さっきの話は良い方の話よ」
「良い方?」
「そうよ、あなたを人として相手が見てくれた場合ね。でも違う場合もあるわ」
「どう言う風に?」
「例えば薬を食べ物に入れあなたを眠らせて攫ったり」
「え?!」
「そしてあなたを思い通りにするために、そうね、奴隷の首輪を付ける」
「奴隷の首輪!」
「そうよ、これを付けられれば、主人に逆らえない」
「逆らうと、どうなるの?」
「逆らえば物凄い激痛が走り、死ぬよりも苦しい思いをするの。だから逆らう事は出来なくなるわ」
「それなら、どうすれば?」
「自分のスキルは見せずに大人しく暮らすのが一番ね。でもそれで生活している以上は無理ね。だから毎日、食べ物には気を付け歩いている時も周りに気を付けないと。
後は1つの街に留まらずに渡り歩くとか。その時はもちらん私もついて行くからね」
「わ、私も一緒よエリアス君」
アリッサさんもその時は、付いて来てくれるのか嬉しいな。
「後はそうね、後ろ盾を持つことかしら」
「後ろ盾?」
「そう、力のある貴族の庇護下に付くのよ。この国の王とか、公爵とか」
「それならアリッサさんの、良い方の話と変わらないのでは?」
「まあ、そうなるわ。それが嫌なら大人しく暮らすか、絶対的な力を身に付ける事」
「それに逆らえるだけ、強くなれという事ですか?」
「そうよ」
う~ん。
特に戦ってスキルアップしたいとは思わないけど。
「さっきの話に戻るけど、ワイルドボアの時になにをしたの?」
「それは俺のスキルなので言えません!」
「それが通ると思っているの?」
「だってスキルなら個人のことだから、詳しくは聞いてこないのでは?」
「もしかしたらそう言えば、イレギュラーな事をしても通ると思ってるの?」
「え?!通らないの?」
「あなた馬鹿なの?!よく今まで生きて来れたわね?ご両親は教えてくれなかったのかしら?駄目だわ、この子は!!」
「まあ、抑えて、抑えて」
いつの間にかアリッサさんは、オルガさんに押さえられていた。
そして少し離れたところに引きずられて行く。
オルガはアリッサの耳元で、小さい声で囁く。
『エリアスはね、両親が他界した後、村の人に土地を狙われ追い出されたのよ』
『えっ?!どう言うこと?』
『村とも言えない名もない山奥で育ったみたい。両親が他界し村の人から『外の世界を見た方がいい』と勧められて村を出たそうよ。村は限られた土地を耕して生活してたから、村の人はその土地狙いだったみたいだわ。エリアスと初めて会った時にそう聞いたわ』
『それじゃあ、余りにも…』
『でも一人では耕せなかった、て言ってたから気にしていないと思うわ』
『人が良い、てこと?』
『閉鎖的な人の少ない村に住んでいたから、世の中のことが分からない。騙されたことが無いから、人を疑う事を知らない、てことよ』
『でも、それでは人の中では辛い思いをするかもしれないわ』
『エリアスは今のままで良い。私が側に居るから、エリアスは変わる必要はないわ』
オルガさん達が戻って来た。
「何を話していたのですか?」
「女同士は色々あるのよ、ねえアリッサさん」
「えぇ、そうね、オルガさん」
2人共、距離が縮まったみたいで良かった。
「それからエリアス。実はエリアスを守るためにアリッサさんに頼んで、エージェント付けてもらっていたの」
「エージェントですか?」
「そうよ、国は各地に人を極秘裏に派遣しているの。人の暮らしに溶け込みながら、その領を視察して国に報告をしているの」
「そんな人が居るんですか?!」
「エージェントは時には国から委任された代理権限の範囲内で、国に代わって法律行為をすることも出来るのよ」
スパイみたいだな?
「そんな凄い人を付けて頂けるなんて。ありがとうございます、アリッサさん」
「いいのよエリアス君。知り合いの親戚の、その友達の同僚の、家族の友達がエージェントらしいから頼んでみただけよ」
「えっ!俺の為にそんなに薄い遠くの縁まで使って頂いて。ありがとうございます」
「い、いいのよ、エリアス君のためだもの」
「では、この森のどこかにそのエージェントさんが、いるかもしれないのですね?」
「そ、そうね」
エージェントさんに、お礼を言わないと。
〈〈〈 見守ってくれて、ありがとう~~!! 〉〉〉
俺は森に向けて、大声で精いっぱいのお礼を言った。
あははは、とオルガは力なく笑うしかなかった。
ここにいるでしょ、エリアス。
アリッサさんがそうよ。
やっぱり天然だ、この子は…。
「えっ?!オルガさん、どういうこと?」
「だってアリッサさんの言い方だと『働かないで贅沢をさせてもらって、たくさんの女の人を抱ける』て聞こえるわよ?」
「そういう風には言っていないけど」
「でもきっとエリアスは『ゆ、夢のような生活だ』と思ったはずよ。ね?エリアス」
「そ、そんなことはないよ(ど、どうしてそれを…)」
「そんなことを考えていたの?この子は!!」
そう言いながらアリッサさんは、俺の両脇のほっぺを両手で左右に引っ張った。
「イタタタタッ!!痛いよ、アリッサさん」
「あなたのことを心配して言っているのに」
「今度は私が言うわ、アリッサさん」
「お願い、オルガさん」
「いい、エリアス。よく聞いてね。さっきの話は良い方の話よ」
「良い方?」
「そうよ、あなたを人として相手が見てくれた場合ね。でも違う場合もあるわ」
「どう言う風に?」
「例えば薬を食べ物に入れあなたを眠らせて攫ったり」
「え?!」
「そしてあなたを思い通りにするために、そうね、奴隷の首輪を付ける」
「奴隷の首輪!」
「そうよ、これを付けられれば、主人に逆らえない」
「逆らうと、どうなるの?」
「逆らえば物凄い激痛が走り、死ぬよりも苦しい思いをするの。だから逆らう事は出来なくなるわ」
「それなら、どうすれば?」
「自分のスキルは見せずに大人しく暮らすのが一番ね。でもそれで生活している以上は無理ね。だから毎日、食べ物には気を付け歩いている時も周りに気を付けないと。
後は1つの街に留まらずに渡り歩くとか。その時はもちらん私もついて行くからね」
「わ、私も一緒よエリアス君」
アリッサさんもその時は、付いて来てくれるのか嬉しいな。
「後はそうね、後ろ盾を持つことかしら」
「後ろ盾?」
「そう、力のある貴族の庇護下に付くのよ。この国の王とか、公爵とか」
「それならアリッサさんの、良い方の話と変わらないのでは?」
「まあ、そうなるわ。それが嫌なら大人しく暮らすか、絶対的な力を身に付ける事」
「それに逆らえるだけ、強くなれという事ですか?」
「そうよ」
う~ん。
特に戦ってスキルアップしたいとは思わないけど。
「さっきの話に戻るけど、ワイルドボアの時になにをしたの?」
「それは俺のスキルなので言えません!」
「それが通ると思っているの?」
「だってスキルなら個人のことだから、詳しくは聞いてこないのでは?」
「もしかしたらそう言えば、イレギュラーな事をしても通ると思ってるの?」
「え?!通らないの?」
「あなた馬鹿なの?!よく今まで生きて来れたわね?ご両親は教えてくれなかったのかしら?駄目だわ、この子は!!」
「まあ、抑えて、抑えて」
いつの間にかアリッサさんは、オルガさんに押さえられていた。
そして少し離れたところに引きずられて行く。
オルガはアリッサの耳元で、小さい声で囁く。
『エリアスはね、両親が他界した後、村の人に土地を狙われ追い出されたのよ』
『えっ?!どう言うこと?』
『村とも言えない名もない山奥で育ったみたい。両親が他界し村の人から『外の世界を見た方がいい』と勧められて村を出たそうよ。村は限られた土地を耕して生活してたから、村の人はその土地狙いだったみたいだわ。エリアスと初めて会った時にそう聞いたわ』
『それじゃあ、余りにも…』
『でも一人では耕せなかった、て言ってたから気にしていないと思うわ』
『人が良い、てこと?』
『閉鎖的な人の少ない村に住んでいたから、世の中のことが分からない。騙されたことが無いから、人を疑う事を知らない、てことよ』
『でも、それでは人の中では辛い思いをするかもしれないわ』
『エリアスは今のままで良い。私が側に居るから、エリアスは変わる必要はないわ』
オルガさん達が戻って来た。
「何を話していたのですか?」
「女同士は色々あるのよ、ねえアリッサさん」
「えぇ、そうね、オルガさん」
2人共、距離が縮まったみたいで良かった。
「それからエリアス。実はエリアスを守るためにアリッサさんに頼んで、エージェント付けてもらっていたの」
「エージェントですか?」
「そうよ、国は各地に人を極秘裏に派遣しているの。人の暮らしに溶け込みながら、その領を視察して国に報告をしているの」
「そんな人が居るんですか?!」
「エージェントは時には国から委任された代理権限の範囲内で、国に代わって法律行為をすることも出来るのよ」
スパイみたいだな?
「そんな凄い人を付けて頂けるなんて。ありがとうございます、アリッサさん」
「いいのよエリアス君。知り合いの親戚の、その友達の同僚の、家族の友達がエージェントらしいから頼んでみただけよ」
「えっ!俺の為にそんなに薄い遠くの縁まで使って頂いて。ありがとうございます」
「い、いいのよ、エリアス君のためだもの」
「では、この森のどこかにそのエージェントさんが、いるかもしれないのですね?」
「そ、そうね」
エージェントさんに、お礼を言わないと。
〈〈〈 見守ってくれて、ありがとう~~!! 〉〉〉
俺は森に向けて、大声で精いっぱいのお礼を言った。
あははは、とオルガは力なく笑うしかなかった。
ここにいるでしょ、エリアス。
アリッサさんがそうよ。
やっぱり天然だ、この子は…。