俺は商業ギルドを出た後、その足で武器屋に向かった。
もうそろそろ頼んでおいた剣が、出来ている頃だと思う。
ドアを開けブルーノさんを呼んだ。
「ブルーノさん、いますか?ブルーノさん」
「そんなに大きな声を出さなくても聞こえてるさ」
「剣がそろそろできた頃かと思いまして」
「丁度、できているぞ。ほれ、そこにある」
台の上には、1.5mはある長剣、いいや大剣が横たわっていた。
「打ち上げるのが大変だったぜ!」
そう言いながら作り上げた満足感からか、ブルーノさんは笑った。
俺は剣の柄を握り持上げる。
刀身が赤黒く光っている。
なんて綺麗な剣なんだ。
「ヒヒイロカネを混ぜたら、なぜかそんな色になってな」
「綺麗な剣です。まるで黒作大刀」
「黒作大刀か。ぴったりな名前だな」
「こんな素敵な剣を、ありがとうございました」
「裏庭で少し振ってみろ。バランスを見たいからな」
「わかりました」
俺はブルーノさんから、剣が出来るまで借りていたクレイモアを返した。
シュン!!シュン!!シュン!!シュン!!
俺は言われた通り、裏庭に出て剣を振った。
「丁度いいバランスです。とても持ちやすく振りやすい」
片手でも両手でも扱えるように、柄の長さを2握りから1.5握りくらいにしている。
「そんなことを言うのはエリアスくらいなものだ。なんせ両手剣の材料で片手剣を作り、それを振っているんだからな。そんな軽々しく剣を振るうお前の筋力はどうなっているんだ?」
「あははは、どうと言われても」
「まあ、何かあったらこいよ。定期的に剣の手入れも必要だからな」
「はい、それからミスリルや、ヒヒイロカネのような鉱物は俺でも買えますか?」
「買えないことは無いが、いったいどうするんだい?」
「少し、考えていることがありまして…」
「考えていること?いったいなんだ?」
「それは言えませんよ~」
「そうか、エリアスは鍛冶屋ではないから、鍛冶組合に入っていないから手に入れることはできないな。俺経由で良ければ、売ってやろう」
「ありがとうございます。でも武器にできる鉱物て、どんな種類があるんですか?」
「鉱物か、そんな事も知らないのに欲しいと言うのか」
「はい、すみません…」
「なら、教えてやろう。まずミスリルだ。魔力をよく伝導するので、魔法剣などに使える。アダマンタイトは非常に重く硬い。魔法を通しにくいのが特徴だ。オリハルコンはミスリル以上に魔法を通し、アダマンタイト並に硬い。まあミスリルやアダマンタイトの上位鉱物と言うところだ。緋緋色金は名前の通り赤い金属で、高い熱伝導性を持ち硬い金属だ。オリハルコンと同格だが、剣士が炎系の魔法を付与できるなら迷わずこちらだ。まあ、こんなところだな」
「ありがとうございました。一番安いのはどれでしょうか?」
「金額的にはミスリル、アダマンタイト、オリハルコンまたは緋緋色金だな」
「ミスリルで剣1本作れるくらいの材料だと、おいくらぐらいでしょうか?」
「それを言ったら原価が分かっちまうだろうが。まあ、いいか。ミスリルで200万くらいだ。そしてアダマンタイト、オリハルコンになると倍の倍だ」
「そ、そんなにするのですか!!」
「滅多にとれない鉱物だからな、高いんだよ。いくら金を積んでも、無いときは手に入らないからね」
「そんな高価なヒヒイロカネを交ぜた剣を、俺は10万で作ってもらえるなんて!」
「良いってことよ。試験的に作ったようなものだからな」
「では、頂いて行きます」
「おう、またこいよ!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺は武器屋から出て宿屋に戻った。
「お帰り~、エリアスお兄ちゃん。オルガお姉ちゃんは、もう部屋に戻ってるよ」
この宿屋の一人娘アンナちゃん10歳だ。
あれから俺達2人は相部屋に移った。
あの後、オルガさんに部屋は別々と言うのも無駄だから、と言われたからだ。
「ただいま!」
「お帰り!」
俺は部屋の入った。
「どこに行ってたのエリアス」
いつの間にか気づいたら、オルガさんは俺のことは呼び捨てにしていた。
「商業ギルドに『味元』を納入して、武器屋に行って剣を取りに行って来たんだ」
「そうだったのね。私にも剣を見せてよ」
「いいよ」
そういうと俺はストレージから、黒作大刀を出して見せた。
「凄いわね、私のバスターソードも長剣だけど、さすがにここまでは長くないわ」
それはそうだ。
黒作大刀は、全長150cmある。
俺の身長は172~3cmくらい。
自分の身長に近い剣など、普通は移動や重さを考えると作らない。
それに鞘に入れてもすぐに抜けないから、戦う準備に時間が掛かり不便だ。
でも俺のストレージなら、鞘代わりとなり移動にも支障はない。
「ちょっと、持たせてもらってもいいかしら?」
「どうぞ!」
俺は片手で持った剣をオルガさんに渡した。
えっ?!
ゴトッ!!
俺と同じように片手で剣を受け取ろうとしたオルガさんは、危うく落としそうになった。
「エリアス、よくこんな重い剣を持てるわね」
「えぇ、力はあるみたいで、テヘ?」
「テヘじゃないわよ。獣人の私が重いと思うのよ。本当にエリアスは人族なの?」
「そんなことを言われても」
俺にもわかっていた。
転移してきた当初に比べると、ステータスが全体的に上がっているのだ。
この世界に体が馴染んできて、本来の能力に目覚めたような感じがする。
とにかく体力が有り余って仕方ない。
夕方なので宿屋の食堂に行き、夕食を食べる。
『なごみ亭』は食堂も兼ねており、食事だけでも食べれるところだ。
そして最近は『味元』のおかげで人がたくさん来るようになったそうだ。
店も賑わい席も空いていないことが多くなった。
これも『味元』のおかげさ、とビルさんは喜んでいた。
そして『味元』は店頭で販売が始まるまでは、俺が店頭価格と同じ金額でビルさんに売ることを約束している。
俺達は夕食を食べ終わり、部屋に戻った。
この世界はTVやPCもなく、夜はする事が無い。
若い男女が部屋に2人いれば、することは1つ…。
あぁ~~~~ん!!
もう駄目~。
獣人である私の方が先に根を上げるなんて。
もうエリアスの体力に、付いて行けないわ~。
いったい、どうなっているのかしら?
私、1人ではもう体が持たない…。
誰か探さないと。
もうそろそろ頼んでおいた剣が、出来ている頃だと思う。
ドアを開けブルーノさんを呼んだ。
「ブルーノさん、いますか?ブルーノさん」
「そんなに大きな声を出さなくても聞こえてるさ」
「剣がそろそろできた頃かと思いまして」
「丁度、できているぞ。ほれ、そこにある」
台の上には、1.5mはある長剣、いいや大剣が横たわっていた。
「打ち上げるのが大変だったぜ!」
そう言いながら作り上げた満足感からか、ブルーノさんは笑った。
俺は剣の柄を握り持上げる。
刀身が赤黒く光っている。
なんて綺麗な剣なんだ。
「ヒヒイロカネを混ぜたら、なぜかそんな色になってな」
「綺麗な剣です。まるで黒作大刀」
「黒作大刀か。ぴったりな名前だな」
「こんな素敵な剣を、ありがとうございました」
「裏庭で少し振ってみろ。バランスを見たいからな」
「わかりました」
俺はブルーノさんから、剣が出来るまで借りていたクレイモアを返した。
シュン!!シュン!!シュン!!シュン!!
俺は言われた通り、裏庭に出て剣を振った。
「丁度いいバランスです。とても持ちやすく振りやすい」
片手でも両手でも扱えるように、柄の長さを2握りから1.5握りくらいにしている。
「そんなことを言うのはエリアスくらいなものだ。なんせ両手剣の材料で片手剣を作り、それを振っているんだからな。そんな軽々しく剣を振るうお前の筋力はどうなっているんだ?」
「あははは、どうと言われても」
「まあ、何かあったらこいよ。定期的に剣の手入れも必要だからな」
「はい、それからミスリルや、ヒヒイロカネのような鉱物は俺でも買えますか?」
「買えないことは無いが、いったいどうするんだい?」
「少し、考えていることがありまして…」
「考えていること?いったいなんだ?」
「それは言えませんよ~」
「そうか、エリアスは鍛冶屋ではないから、鍛冶組合に入っていないから手に入れることはできないな。俺経由で良ければ、売ってやろう」
「ありがとうございます。でも武器にできる鉱物て、どんな種類があるんですか?」
「鉱物か、そんな事も知らないのに欲しいと言うのか」
「はい、すみません…」
「なら、教えてやろう。まずミスリルだ。魔力をよく伝導するので、魔法剣などに使える。アダマンタイトは非常に重く硬い。魔法を通しにくいのが特徴だ。オリハルコンはミスリル以上に魔法を通し、アダマンタイト並に硬い。まあミスリルやアダマンタイトの上位鉱物と言うところだ。緋緋色金は名前の通り赤い金属で、高い熱伝導性を持ち硬い金属だ。オリハルコンと同格だが、剣士が炎系の魔法を付与できるなら迷わずこちらだ。まあ、こんなところだな」
「ありがとうございました。一番安いのはどれでしょうか?」
「金額的にはミスリル、アダマンタイト、オリハルコンまたは緋緋色金だな」
「ミスリルで剣1本作れるくらいの材料だと、おいくらぐらいでしょうか?」
「それを言ったら原価が分かっちまうだろうが。まあ、いいか。ミスリルで200万くらいだ。そしてアダマンタイト、オリハルコンになると倍の倍だ」
「そ、そんなにするのですか!!」
「滅多にとれない鉱物だからな、高いんだよ。いくら金を積んでも、無いときは手に入らないからね」
「そんな高価なヒヒイロカネを交ぜた剣を、俺は10万で作ってもらえるなんて!」
「良いってことよ。試験的に作ったようなものだからな」
「では、頂いて行きます」
「おう、またこいよ!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺は武器屋から出て宿屋に戻った。
「お帰り~、エリアスお兄ちゃん。オルガお姉ちゃんは、もう部屋に戻ってるよ」
この宿屋の一人娘アンナちゃん10歳だ。
あれから俺達2人は相部屋に移った。
あの後、オルガさんに部屋は別々と言うのも無駄だから、と言われたからだ。
「ただいま!」
「お帰り!」
俺は部屋の入った。
「どこに行ってたのエリアス」
いつの間にか気づいたら、オルガさんは俺のことは呼び捨てにしていた。
「商業ギルドに『味元』を納入して、武器屋に行って剣を取りに行って来たんだ」
「そうだったのね。私にも剣を見せてよ」
「いいよ」
そういうと俺はストレージから、黒作大刀を出して見せた。
「凄いわね、私のバスターソードも長剣だけど、さすがにここまでは長くないわ」
それはそうだ。
黒作大刀は、全長150cmある。
俺の身長は172~3cmくらい。
自分の身長に近い剣など、普通は移動や重さを考えると作らない。
それに鞘に入れてもすぐに抜けないから、戦う準備に時間が掛かり不便だ。
でも俺のストレージなら、鞘代わりとなり移動にも支障はない。
「ちょっと、持たせてもらってもいいかしら?」
「どうぞ!」
俺は片手で持った剣をオルガさんに渡した。
えっ?!
ゴトッ!!
俺と同じように片手で剣を受け取ろうとしたオルガさんは、危うく落としそうになった。
「エリアス、よくこんな重い剣を持てるわね」
「えぇ、力はあるみたいで、テヘ?」
「テヘじゃないわよ。獣人の私が重いと思うのよ。本当にエリアスは人族なの?」
「そんなことを言われても」
俺にもわかっていた。
転移してきた当初に比べると、ステータスが全体的に上がっているのだ。
この世界に体が馴染んできて、本来の能力に目覚めたような感じがする。
とにかく体力が有り余って仕方ない。
夕方なので宿屋の食堂に行き、夕食を食べる。
『なごみ亭』は食堂も兼ねており、食事だけでも食べれるところだ。
そして最近は『味元』のおかげで人がたくさん来るようになったそうだ。
店も賑わい席も空いていないことが多くなった。
これも『味元』のおかげさ、とビルさんは喜んでいた。
そして『味元』は店頭で販売が始まるまでは、俺が店頭価格と同じ金額でビルさんに売ることを約束している。
俺達は夕食を食べ終わり、部屋に戻った。
この世界はTVやPCもなく、夜はする事が無い。
若い男女が部屋に2人いれば、することは1つ…。
あぁ~~~~ん!!
もう駄目~。
獣人である私の方が先に根を上げるなんて。
もうエリアスの体力に、付いて行けないわ~。
いったい、どうなっているのかしら?
私、1人ではもう体が持たない…。
誰か探さないと。