俺はアレックさんから、商人ギルドのカードをもらった。
これを城門で見せれば、身分証になるらしい。
でもすでに冒険者カードがあるからいらないけど。
「それから住居兼作業場がある、物件を探しているのですが」
「そうか担当を呼ぶから、少し待っていてくれないか」
ギルドマスターのアレックさんはドアを開け誰かを呼びに行った。
すると受付のノエルさんが資料片手に現れた。
「担当のノエルと申します。どういった物件をお探しでしょうか?」
ノエルさんは藍色の長い髪の20歳くらいの人だ。
「はい、2階建てで1階は店舗と小さい作業場の部屋、2階は住居として使えることが希望です。場所は生活圏内に市場や商業ギルドがあると嬉しいです」
「そうですね。該当する物件は3件あります。内2件が賃貸。1件が売り物件です」
「3件しかないんですか?」
ノエルさんに話を聞くと、街は城塞で囲まれている。
だから土地が限られていて、空いている土地がそれほどないそうだ。
そのため、土地はとても高額で伯爵クラスの貴族か、よほどの大商人でもない限り購入は難しいという。
ほとんどの住人は集合住宅で、台所無しの狭い賃貸か宿屋で雑魚寝の生活だ。
だから外食産業が多いそうだ。
物件票を見ながらノエルさんと、回ってみることにした。
最初は賃貸から見て回り、1件目は思った以上に広すぎてパス。
2件目は逆に繁華街から離れている割には、狭く家賃が高かった。
3件目の売り物件の票を見ると、『築40年』とあり金額も購入にしては安い。
歩いているとここ数日、見慣れた道に出た。
「ここです!」
ノエルさんに言われ見上げると『なごみ亭』の数十軒先の物件だった。
繁華街からは、やや離れているが周りの環境は悪くない。
しかしボロボロで建て直した方が良いくらいに古い。
その代わり土地も広く、改装費は掛かるが購入金額が安い。
売る側も建て替えて売ると、お金が掛かる。
それなら現状で売って、購入した側で建て替えればいいという事らしい。
売値は下がるが建て替えない分、財布は痛まない。
改装するなら良い業者を紹介いたします、とノエルさんが言ってくる。
最初から、それ狙いですね。
買い手のつかない物件を紹介し、業者を紹介し手数料をもらう。
ローン購入で売れた場合はギルドが売主に一括で支払い、ギルドが債権者となりギルドに毎月支払えばいいとのこと。
ギルドは金利分、利息が取れるというわけだ。
ただ返済能力が無いと貸し倒れになるので、審査があるみたいだ。
『味元』販売をこなしていけば分割なら、それほど時間を掛けずに支払いできそうな金額だ。
ギルドもそれがあるから、俺に物件を案内できるらしい。
それに元々、借り手がつかないような物件しか、紹介していない様な気がする。
相手を見て紹介物件を変えているとしか思えない。
そうだよな、俺みたいな一介のDランク冒険者が相手にしてもらえるだけマシだ。
念のため、支払できなくなった場合のことを聞くと『奴隷落ち』だって。
やはり異世界、奴隷も定番であるのか。
しかし購入するだけならいいが、建て替え費用が支払えるか心配だ。
家を買ったはいいが、ローン返済のために働くのは嫌だからだ。
そうだ。
「ノエルさん、木材は手に入りますか?」
「木材ですか?どうされるのでしょうか」
「自分で改築しよう思いまして」
「ご自身でですか!?」
「えぇ、そうです」
ノエルさんが、驚いた顔をしている。
「木工ギルドで購入できると思います」
「それと森の木を勝手に伐採したら、駄目なのでしょうか?」
「それは可能です。基本どの領地も城壁の中が領地ですから」
「そうなんですか」
「えぇ、国の庇護が不要なら、空いている場所を開拓し村を作ることも可能なのです。山1つ伐採とかしない限り、騒がれることはありません。まぁ、そんなことは実際にはできませんが。できても捌く相手が居ませんから、誰も問題視しないのです」
「では、ここを買います」
「えっ、ここにするのエリアス君?」
驚いて後ろを振り向くとオルガさんが居た。
さすが虎猫族。
静かに忍び寄れるのか?
「オルガさん、どうしたのですか?」
「え、ずっと一緒にいたわよ」
「………………………。」
「こんな古い家、買ってどうするの。とてもじゃないけど住めないわよ」
「大丈夫です。俺が何とかしますから」
「そうなんだ。じゃあ、私は何も言わないわ」
「ノエルさん、ここにします。改築は自分でやるので現状で構いません」
「本当に宜しいんでしょうか?業者の手配はいつでも出来ますから言ってください」
俺達は商業ギルドに戻り、購入の手続きをした。
もちろん分割だけどね。
これを城門で見せれば、身分証になるらしい。
でもすでに冒険者カードがあるからいらないけど。
「それから住居兼作業場がある、物件を探しているのですが」
「そうか担当を呼ぶから、少し待っていてくれないか」
ギルドマスターのアレックさんはドアを開け誰かを呼びに行った。
すると受付のノエルさんが資料片手に現れた。
「担当のノエルと申します。どういった物件をお探しでしょうか?」
ノエルさんは藍色の長い髪の20歳くらいの人だ。
「はい、2階建てで1階は店舗と小さい作業場の部屋、2階は住居として使えることが希望です。場所は生活圏内に市場や商業ギルドがあると嬉しいです」
「そうですね。該当する物件は3件あります。内2件が賃貸。1件が売り物件です」
「3件しかないんですか?」
ノエルさんに話を聞くと、街は城塞で囲まれている。
だから土地が限られていて、空いている土地がそれほどないそうだ。
そのため、土地はとても高額で伯爵クラスの貴族か、よほどの大商人でもない限り購入は難しいという。
ほとんどの住人は集合住宅で、台所無しの狭い賃貸か宿屋で雑魚寝の生活だ。
だから外食産業が多いそうだ。
物件票を見ながらノエルさんと、回ってみることにした。
最初は賃貸から見て回り、1件目は思った以上に広すぎてパス。
2件目は逆に繁華街から離れている割には、狭く家賃が高かった。
3件目の売り物件の票を見ると、『築40年』とあり金額も購入にしては安い。
歩いているとここ数日、見慣れた道に出た。
「ここです!」
ノエルさんに言われ見上げると『なごみ亭』の数十軒先の物件だった。
繁華街からは、やや離れているが周りの環境は悪くない。
しかしボロボロで建て直した方が良いくらいに古い。
その代わり土地も広く、改装費は掛かるが購入金額が安い。
売る側も建て替えて売ると、お金が掛かる。
それなら現状で売って、購入した側で建て替えればいいという事らしい。
売値は下がるが建て替えない分、財布は痛まない。
改装するなら良い業者を紹介いたします、とノエルさんが言ってくる。
最初から、それ狙いですね。
買い手のつかない物件を紹介し、業者を紹介し手数料をもらう。
ローン購入で売れた場合はギルドが売主に一括で支払い、ギルドが債権者となりギルドに毎月支払えばいいとのこと。
ギルドは金利分、利息が取れるというわけだ。
ただ返済能力が無いと貸し倒れになるので、審査があるみたいだ。
『味元』販売をこなしていけば分割なら、それほど時間を掛けずに支払いできそうな金額だ。
ギルドもそれがあるから、俺に物件を案内できるらしい。
それに元々、借り手がつかないような物件しか、紹介していない様な気がする。
相手を見て紹介物件を変えているとしか思えない。
そうだよな、俺みたいな一介のDランク冒険者が相手にしてもらえるだけマシだ。
念のため、支払できなくなった場合のことを聞くと『奴隷落ち』だって。
やはり異世界、奴隷も定番であるのか。
しかし購入するだけならいいが、建て替え費用が支払えるか心配だ。
家を買ったはいいが、ローン返済のために働くのは嫌だからだ。
そうだ。
「ノエルさん、木材は手に入りますか?」
「木材ですか?どうされるのでしょうか」
「自分で改築しよう思いまして」
「ご自身でですか!?」
「えぇ、そうです」
ノエルさんが、驚いた顔をしている。
「木工ギルドで購入できると思います」
「それと森の木を勝手に伐採したら、駄目なのでしょうか?」
「それは可能です。基本どの領地も城壁の中が領地ですから」
「そうなんですか」
「えぇ、国の庇護が不要なら、空いている場所を開拓し村を作ることも可能なのです。山1つ伐採とかしない限り、騒がれることはありません。まぁ、そんなことは実際にはできませんが。できても捌く相手が居ませんから、誰も問題視しないのです」
「では、ここを買います」
「えっ、ここにするのエリアス君?」
驚いて後ろを振り向くとオルガさんが居た。
さすが虎猫族。
静かに忍び寄れるのか?
「オルガさん、どうしたのですか?」
「え、ずっと一緒にいたわよ」
「………………………。」
「こんな古い家、買ってどうするの。とてもじゃないけど住めないわよ」
「大丈夫です。俺が何とかしますから」
「そうなんだ。じゃあ、私は何も言わないわ」
「ノエルさん、ここにします。改築は自分でやるので現状で構いません」
「本当に宜しいんでしょうか?業者の手配はいつでも出来ますから言ってください」
俺達は商業ギルドに戻り、購入の手続きをした。
もちろん分割だけどね。