「改めてお礼を言うわ、私はAランク冒険者のオルガよ」
「俺はエリアスです」
「凄いわ、エリアス君。あなたはソロなの?一人でバグベアを倒せるなんて」
「はい、一人です。この街に来たばかりで、知り合いもいませんので」
「エリアス君て、言葉使いが丁寧なのね。生まれが良いのかな、御貴族様かな?」
「いいえ、俺は村とも言えないような名もない場所で育ったんですよ。両親が他界したのを機に村の人から『外の世界を見た方がいい』と勧められてアレンの街に来たんです。まあ俺一人では家族の分まで土地を耕して生活するのは難しかったからね」
俺は生まれを聞かれた際に、用意しておいた言葉を言った。
え、それって両親が他界したのをきっかけに、村の人に土地を狙われ追い出されたって言うこと?可哀そうに。この子は人が良すぎる。誰かがが守ってあげないと。
「このバグベアはどうしますか?」
「こんな重いの運んでいけないわね。魔石と爪だけでも持って帰りたいけど。でもこのバグベアはエリアス君のものよ」
「えっ、そう言う訳には」
「命の恩人だもの、当然よ」
「ではそのまま、持って帰りましょうか」
そう言って俺はストレージにバグベアを収納した。
「えっ~!!マジック・バッグ!しかもそんなに入るなんて驚いたわ?!」
大物の魔物や魔獣を倒したときは、お金になる部分を持てるだけ持つか、一度街に帰り運び屋という専門の人に頼んで運んでもらうのが普通だ。
その場合は他の人に取られないように、魔物の側に誰かが残る必要がある。
そのためソロで活動する冒険者は、目ぼしい部位だけを持って帰るしかないのだ。
町に戻る道すがらオルガさんと話した。
獣人の村に住んでいたが貧しく生活できないため、アレンの街で冒険者になった。
だが同じ獣人仲間はおらず、人族は獣人を差別する者も居る。
仲間を探してはいたが、女の冒険者が少なく仕方なくソロでやっていた。
獣人だから力もあり、能力も高いから1人でもやってこれた。
そんな時バグベアに出会い不意を突かれ、足を怪我してしまったそうだ。
オルガさんの髪は茶色でショートカットだ。
175cmくらいで剣士だけあって締まった体をしている人だ。
虎猫族と言っても人族と違うのは、頭の上にある茶色の耳と尻尾だけだ。
尾の先端は白くなっている。
それだけだ。
獣人は耳が頭の上になる関係で、兜をかぶらないらしい。
かぶると耳が痛くなるし、音が聞こえないからだと言う。
転移前は犬や猫が大好きだった。
だからオルガさんには、抵抗がなく接することができ可愛く見えてた。
「不意を突かれなければ、バグベアになんて遅れを取られなかったのに」
「そ、そうなんですか」
そんなに強いんだ、オルガさんて。
でも不意を突かれた時点で、駄目だと思うけど。
いつ何があるかわからない。
過信は命取りになる、てことだね。
「そう言えばエリアス君ていくつなの?」
「15歳ですよ」
「へ~、歳の割りには」
「若く見えますか?」
「そうね、私の方がお姉ちゃんなのね」
「オルガさんは、大人っぽいんです」
「私の様な獣人は、親離れが早いから成長も早いのよ」
「そうなんですか」
「そう言えばエリアス君の剣に関してはごめんね。溶けてしまったわね」
「いえ、仕方ありませんよ」
「魔法剣なの?ま・ほ・う・け・ん」
「いいえ、バグベアを倒す決定的な攻撃がなくて。俺は火、水、氷、風、光も魔法は使えまずが生活魔法程度なので。火の魔法で腹に刺した剣を、包んだら溶けたんです」
え?
生活魔法レベルでも5属性使えたら、国が召し抱えてくれるわ。
「付与したということ?」
「いいえ、包んだんです。こんな風に」
そう俺は言うと人差し指を炎の魔法で包んで見せた。
「す、凄いわ!!エリアス君」
「どう凄いんでしょうか?」
「付与は魔力をそのものに流すの。例えば剣ならミスリルみたいに魔力が流れやすければいいけど、鋼の剣は流れにくいの。でもあなたがやっているのは、その言葉通り包んでいるのよ。だから纏えるのて凄いことなの!でも熱くないの?」
「えぇ、魔法の炎自体は熱くないですよ。自分の魔力ですから。ただバグベアのお腹に刺した剣に纏わせたときは剣自体が熱を帯びて熱かったですけど」
「本当に、熱くないの?確かに自分の魔力だから分かるけど。かと言ってファイヤーボールを自分に向けて撃つ気にはならないわ」
「それにバグベアの攻撃を素手で受け止めるなんて」
「それは俺のスキルです。防御力はあるんです」
「スキルなら、それ以上は聞けないわね」
「ただ防げても攻撃力がないので、誰か攻撃専門の人が居れば良いなと思ってます」
剣に魔法を纏わせる?す、凄いわ。こんな使い方があるなんて。
攻撃を防ぐスキルなんて聞いたことがない。
しかしこの子は余りにも世間知らずで危ないわ。
私が守ってあげないと、この子は駄目ね。
私達、獣人は戦闘に長けていることが誇り。
子種をもらえれば、良い戦士に育つかも?
「街に帰ったら新しい剣を私がプレゼントするわ」
「そんな、悪いですよ」
「あなたは私の命の恩人よ。それにこう見えてもわたしはAランクなのよ」
そんな話をしながら街に戻った。
その後、面倒なことになることも知らずに。
「俺はエリアスです」
「凄いわ、エリアス君。あなたはソロなの?一人でバグベアを倒せるなんて」
「はい、一人です。この街に来たばかりで、知り合いもいませんので」
「エリアス君て、言葉使いが丁寧なのね。生まれが良いのかな、御貴族様かな?」
「いいえ、俺は村とも言えないような名もない場所で育ったんですよ。両親が他界したのを機に村の人から『外の世界を見た方がいい』と勧められてアレンの街に来たんです。まあ俺一人では家族の分まで土地を耕して生活するのは難しかったからね」
俺は生まれを聞かれた際に、用意しておいた言葉を言った。
え、それって両親が他界したのをきっかけに、村の人に土地を狙われ追い出されたって言うこと?可哀そうに。この子は人が良すぎる。誰かがが守ってあげないと。
「このバグベアはどうしますか?」
「こんな重いの運んでいけないわね。魔石と爪だけでも持って帰りたいけど。でもこのバグベアはエリアス君のものよ」
「えっ、そう言う訳には」
「命の恩人だもの、当然よ」
「ではそのまま、持って帰りましょうか」
そう言って俺はストレージにバグベアを収納した。
「えっ~!!マジック・バッグ!しかもそんなに入るなんて驚いたわ?!」
大物の魔物や魔獣を倒したときは、お金になる部分を持てるだけ持つか、一度街に帰り運び屋という専門の人に頼んで運んでもらうのが普通だ。
その場合は他の人に取られないように、魔物の側に誰かが残る必要がある。
そのためソロで活動する冒険者は、目ぼしい部位だけを持って帰るしかないのだ。
町に戻る道すがらオルガさんと話した。
獣人の村に住んでいたが貧しく生活できないため、アレンの街で冒険者になった。
だが同じ獣人仲間はおらず、人族は獣人を差別する者も居る。
仲間を探してはいたが、女の冒険者が少なく仕方なくソロでやっていた。
獣人だから力もあり、能力も高いから1人でもやってこれた。
そんな時バグベアに出会い不意を突かれ、足を怪我してしまったそうだ。
オルガさんの髪は茶色でショートカットだ。
175cmくらいで剣士だけあって締まった体をしている人だ。
虎猫族と言っても人族と違うのは、頭の上にある茶色の耳と尻尾だけだ。
尾の先端は白くなっている。
それだけだ。
獣人は耳が頭の上になる関係で、兜をかぶらないらしい。
かぶると耳が痛くなるし、音が聞こえないからだと言う。
転移前は犬や猫が大好きだった。
だからオルガさんには、抵抗がなく接することができ可愛く見えてた。
「不意を突かれなければ、バグベアになんて遅れを取られなかったのに」
「そ、そうなんですか」
そんなに強いんだ、オルガさんて。
でも不意を突かれた時点で、駄目だと思うけど。
いつ何があるかわからない。
過信は命取りになる、てことだね。
「そう言えばエリアス君ていくつなの?」
「15歳ですよ」
「へ~、歳の割りには」
「若く見えますか?」
「そうね、私の方がお姉ちゃんなのね」
「オルガさんは、大人っぽいんです」
「私の様な獣人は、親離れが早いから成長も早いのよ」
「そうなんですか」
「そう言えばエリアス君の剣に関してはごめんね。溶けてしまったわね」
「いえ、仕方ありませんよ」
「魔法剣なの?ま・ほ・う・け・ん」
「いいえ、バグベアを倒す決定的な攻撃がなくて。俺は火、水、氷、風、光も魔法は使えまずが生活魔法程度なので。火の魔法で腹に刺した剣を、包んだら溶けたんです」
え?
生活魔法レベルでも5属性使えたら、国が召し抱えてくれるわ。
「付与したということ?」
「いいえ、包んだんです。こんな風に」
そう俺は言うと人差し指を炎の魔法で包んで見せた。
「す、凄いわ!!エリアス君」
「どう凄いんでしょうか?」
「付与は魔力をそのものに流すの。例えば剣ならミスリルみたいに魔力が流れやすければいいけど、鋼の剣は流れにくいの。でもあなたがやっているのは、その言葉通り包んでいるのよ。だから纏えるのて凄いことなの!でも熱くないの?」
「えぇ、魔法の炎自体は熱くないですよ。自分の魔力ですから。ただバグベアのお腹に刺した剣に纏わせたときは剣自体が熱を帯びて熱かったですけど」
「本当に、熱くないの?確かに自分の魔力だから分かるけど。かと言ってファイヤーボールを自分に向けて撃つ気にはならないわ」
「それにバグベアの攻撃を素手で受け止めるなんて」
「それは俺のスキルです。防御力はあるんです」
「スキルなら、それ以上は聞けないわね」
「ただ防げても攻撃力がないので、誰か攻撃専門の人が居れば良いなと思ってます」
剣に魔法を纏わせる?す、凄いわ。こんな使い方があるなんて。
攻撃を防ぐスキルなんて聞いたことがない。
しかしこの子は余りにも世間知らずで危ないわ。
私が守ってあげないと、この子は駄目ね。
私達、獣人は戦闘に長けていることが誇り。
子種をもらえれば、良い戦士に育つかも?
「街に帰ったら新しい剣を私がプレゼントするわ」
「そんな、悪いですよ」
「あなたは私の命の恩人よ。それにこう見えてもわたしはAランクなのよ」
そんな話をしながら街に戻った。
その後、面倒なことになることも知らずに。