「そろそろ食事にしましょうか?」
商人のヤルコビッチさんが、みんなに声を掛けている。
冒険者の人達も何やら、バッグから食べ物を出しているようだ。
街灯もない暗い道を歩くのは危険だから、今夜はここで野宿だ。
そして陽が昇り次第、街を目指す。
私もそれに同行させてもらえることになった。
これで一安心、一人で不安だったのよ。
そうそう、ワンコ達にご飯をあげないとね。
私はストレージから犬の餌を入れる食器を5個出した。
「えっ?!」
ヤルコビッチさんや冒険者のゲオルギーさんが驚いている。
そうか、突然何もない空間から物を出したら驚くよね。
気を付けよう。
そして食べかけのドライフードをお皿に分けて入れる。
あぁ、そうだわ。
そう考え私は左手にタブレットを持つような仕草をし、視界の中にあるアイコンをタップして『ネットスーパー』を立ち上げる。
そして『ペットコーナー』を探す。
あった!!
今夜でお別れだから奮発して、犬大好き『ワンチュール』を購入しようと思う。
やっぱり肉系のささみチキンが良いかな。
そしてドライフードが入ったお皿の上から、購入した『ワンチュール』をかけスプーンを購入しかき回す。
カラ、カラ、カラ、カラ、カラ、
カラ、カラ、カラ、カラ、カラ、
「さあ、どうぞ。召し上がれ」
そう言いながら私は、餌の入ったお皿をワンコ達の前に置いて行く。
ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、
ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、
ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、
ワンコ達はとても喜んで、美味しそうに餌を食べている。
「あの~スズカさん。マジック・バッグをお持ちなのでしょうか?」
ヤルコビッチさんが聞いてくる。
マジック・バッグ?
何それ?
私はタブレットの『ヘルプ』機能を使う事にした。
マイクマークをタップする。
すると人の顔をしたマークが浮かぶ。
これに質問すれば良いのね。
左手を口に近づけ質問をする。
「マジック・バッグとは?」
すると画面に文字が浮かぶ。
『見た目以上に物が入る魔法の鞄。収納魔法が付与されており、古代遺跡より発掘される』
そうなんだ。
ストレージみたいなものね。
「えぇ、まあ、そうです」
そう私は曖昧に応える。
でもなぜかヤルコビッチさんが、不思議そうな顔をして私を見ている。
「ではそのバッグはどこにあるのでしょうか?」
あっ!しまった。
私が持っているのは首から下げた水筒だけだったわ。
マジック・バッグは鞄ね。
鞄、鞄、鞄と。
『ネットスーパー』の中で鞄を捜したけど無いみたい。
それならこれでいいか?
そう思いポーチがあったので、購入しストレージから出して首から下げた。
「はい!これがそうです」
「そ、そうですか。ですが後付けで出て来るとは思いませんでした」
「まあ、バッグも色々ありますから」
「そうですね」
「そうですよ」
「・・・・・・・・・・・」
「「あはははははは!!」」
「あの~スズカさん。その魔物達が食べているのは、なんでしょうか?」
冒険者で弓担当のジョヴァンニさんが聞いてくる。
「あぁ、これはドッグフードです」
「ドッグフードですか?」
「犬族専用の食べ物です。まさかこの子達が魔物だとは知らなかったので、与えてみたのですが美味しそうに食べてくれるので」
「何が入っているのでしょうか?」
私はドッグフードの『愛犬元気ん』の袋を取りだし見てみる。
「そうですね、主にビーフとチキン。それに緑黄色野菜や小魚ですかね」
「その後からかけたペースト状のものは…」
「鳥の胸肉ですね」
私は入物の品質表示を身ながら応える。
「そんなに入っているのですか?!道理で美味しそうな匂いが…。私に少し売って頂けませんか?」
「へっ?!」
そう言うとジョヴァンニさんは、皮の兜を脱いだ。
すると可愛い耳が頭にちょこんと…。
「私は犬族の獣人なので、その美味しそうな匂いを嗅いだらたまらなくなって」
獣人が居るんだこの世界は。
しかしいくらで売って良いのかが分からない。
だってバラ売りなんて考えてなかったから。
「お世話になるのでお金は要りません」
「こちらもそう言う訳にはいきませんよ」
「でも…、そう言われてもいくらにして良いのか、値段が分からなくて」
「では私がお力になりましょう」
私が困っているとヤルコビッチが、助け舟を出してくれた。
商人さんなら相場が分かるかもしれないわね。
私はそう思いジョヴァンニさん達と距離を置き、ヤルコビッチさんと小声で話す。
ドッグフードは2.2kgで550g入りの袋が4つで800円、ペースト状の餌は120円。
一回の食事量が100gだとしてもドッグフード100g約37円+ペースト状の餌を足しても157円かな?
『ほう、そんなに安いのですか!』
『安いでしょうか?』
『えぇ、そうです。あれほど美味しそうな匂いがして、栄養価も高いご飯が1食200円もしないとは』
まあ、人のご飯としては考えてないからね。
『他に経費は掛かっていますか?』
『掛かっておりません』
『経費は掛かっていない?それはおかしい。どこかで購入したのなら、そこまでの経費が掛かるはずです』
あぁ、いけない。
ネットスーパーだから経費は掛からないけど。
あぁ、そうだ。
『実は他界した私の父は商人をやっておりました。その時に仕入れた商品がたくさんあり、それを売って生活できればと思いまして…』
『ほう、それは。私もお力になれればと思います』
『ありがとうございます』
『では値段ですが、今回は500円でどうでしょうか?』
『えっ?そんなに高いのですか』
『そうですね、この場合は良いと思います。通常、販売価格の値段に決め方は、コスト原価から考えて商品の値段を決める。利益率から考えて商品の値段を決める。競合、市場と比較し、この内のどれかで値段を決めます』
『はあ』
『しかし、今回の場合は以前から購入してあった在庫であると言う事と、競合する者が無いことを考え、そしてこの場所で野営をしている状態での販売ですから原価の2.5倍でも良いと思います』
『そうですか』
『もし、これで店舗を構え商売をするなら、利益率が35~37%くらいになるようにすると、商売としてやって行けると思います』
私にペットショップをやれと?
ヤルコビッチさんとの相談も終わり、ジョヴァンニさん達の元に戻って来た。
「価格は決まりましたか?」
「はい、一食500円でどうでしょうか?」
「おう、そんなに安くていいのですか?!もちろんお願いします」
そう言うと彼らは500円とお皿を出してきた。
私はそれを受け取りお皿に、ワンコスペシャル(犬の餌)を入れた。
「「へい、お待ち~!!」」
涼香の声が夜空に響き渡った!!
商人のヤルコビッチさんが、みんなに声を掛けている。
冒険者の人達も何やら、バッグから食べ物を出しているようだ。
街灯もない暗い道を歩くのは危険だから、今夜はここで野宿だ。
そして陽が昇り次第、街を目指す。
私もそれに同行させてもらえることになった。
これで一安心、一人で不安だったのよ。
そうそう、ワンコ達にご飯をあげないとね。
私はストレージから犬の餌を入れる食器を5個出した。
「えっ?!」
ヤルコビッチさんや冒険者のゲオルギーさんが驚いている。
そうか、突然何もない空間から物を出したら驚くよね。
気を付けよう。
そして食べかけのドライフードをお皿に分けて入れる。
あぁ、そうだわ。
そう考え私は左手にタブレットを持つような仕草をし、視界の中にあるアイコンをタップして『ネットスーパー』を立ち上げる。
そして『ペットコーナー』を探す。
あった!!
今夜でお別れだから奮発して、犬大好き『ワンチュール』を購入しようと思う。
やっぱり肉系のささみチキンが良いかな。
そしてドライフードが入ったお皿の上から、購入した『ワンチュール』をかけスプーンを購入しかき回す。
カラ、カラ、カラ、カラ、カラ、
カラ、カラ、カラ、カラ、カラ、
「さあ、どうぞ。召し上がれ」
そう言いながら私は、餌の入ったお皿をワンコ達の前に置いて行く。
ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、
ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、
ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、
ワンコ達はとても喜んで、美味しそうに餌を食べている。
「あの~スズカさん。マジック・バッグをお持ちなのでしょうか?」
ヤルコビッチさんが聞いてくる。
マジック・バッグ?
何それ?
私はタブレットの『ヘルプ』機能を使う事にした。
マイクマークをタップする。
すると人の顔をしたマークが浮かぶ。
これに質問すれば良いのね。
左手を口に近づけ質問をする。
「マジック・バッグとは?」
すると画面に文字が浮かぶ。
『見た目以上に物が入る魔法の鞄。収納魔法が付与されており、古代遺跡より発掘される』
そうなんだ。
ストレージみたいなものね。
「えぇ、まあ、そうです」
そう私は曖昧に応える。
でもなぜかヤルコビッチさんが、不思議そうな顔をして私を見ている。
「ではそのバッグはどこにあるのでしょうか?」
あっ!しまった。
私が持っているのは首から下げた水筒だけだったわ。
マジック・バッグは鞄ね。
鞄、鞄、鞄と。
『ネットスーパー』の中で鞄を捜したけど無いみたい。
それならこれでいいか?
そう思いポーチがあったので、購入しストレージから出して首から下げた。
「はい!これがそうです」
「そ、そうですか。ですが後付けで出て来るとは思いませんでした」
「まあ、バッグも色々ありますから」
「そうですね」
「そうですよ」
「・・・・・・・・・・・」
「「あはははははは!!」」
「あの~スズカさん。その魔物達が食べているのは、なんでしょうか?」
冒険者で弓担当のジョヴァンニさんが聞いてくる。
「あぁ、これはドッグフードです」
「ドッグフードですか?」
「犬族専用の食べ物です。まさかこの子達が魔物だとは知らなかったので、与えてみたのですが美味しそうに食べてくれるので」
「何が入っているのでしょうか?」
私はドッグフードの『愛犬元気ん』の袋を取りだし見てみる。
「そうですね、主にビーフとチキン。それに緑黄色野菜や小魚ですかね」
「その後からかけたペースト状のものは…」
「鳥の胸肉ですね」
私は入物の品質表示を身ながら応える。
「そんなに入っているのですか?!道理で美味しそうな匂いが…。私に少し売って頂けませんか?」
「へっ?!」
そう言うとジョヴァンニさんは、皮の兜を脱いだ。
すると可愛い耳が頭にちょこんと…。
「私は犬族の獣人なので、その美味しそうな匂いを嗅いだらたまらなくなって」
獣人が居るんだこの世界は。
しかしいくらで売って良いのかが分からない。
だってバラ売りなんて考えてなかったから。
「お世話になるのでお金は要りません」
「こちらもそう言う訳にはいきませんよ」
「でも…、そう言われてもいくらにして良いのか、値段が分からなくて」
「では私がお力になりましょう」
私が困っているとヤルコビッチが、助け舟を出してくれた。
商人さんなら相場が分かるかもしれないわね。
私はそう思いジョヴァンニさん達と距離を置き、ヤルコビッチさんと小声で話す。
ドッグフードは2.2kgで550g入りの袋が4つで800円、ペースト状の餌は120円。
一回の食事量が100gだとしてもドッグフード100g約37円+ペースト状の餌を足しても157円かな?
『ほう、そんなに安いのですか!』
『安いでしょうか?』
『えぇ、そうです。あれほど美味しそうな匂いがして、栄養価も高いご飯が1食200円もしないとは』
まあ、人のご飯としては考えてないからね。
『他に経費は掛かっていますか?』
『掛かっておりません』
『経費は掛かっていない?それはおかしい。どこかで購入したのなら、そこまでの経費が掛かるはずです』
あぁ、いけない。
ネットスーパーだから経費は掛からないけど。
あぁ、そうだ。
『実は他界した私の父は商人をやっておりました。その時に仕入れた商品がたくさんあり、それを売って生活できればと思いまして…』
『ほう、それは。私もお力になれればと思います』
『ありがとうございます』
『では値段ですが、今回は500円でどうでしょうか?』
『えっ?そんなに高いのですか』
『そうですね、この場合は良いと思います。通常、販売価格の値段に決め方は、コスト原価から考えて商品の値段を決める。利益率から考えて商品の値段を決める。競合、市場と比較し、この内のどれかで値段を決めます』
『はあ』
『しかし、今回の場合は以前から購入してあった在庫であると言う事と、競合する者が無いことを考え、そしてこの場所で野営をしている状態での販売ですから原価の2.5倍でも良いと思います』
『そうですか』
『もし、これで店舗を構え商売をするなら、利益率が35~37%くらいになるようにすると、商売としてやって行けると思います』
私にペットショップをやれと?
ヤルコビッチさんとの相談も終わり、ジョヴァンニさん達の元に戻って来た。
「価格は決まりましたか?」
「はい、一食500円でどうでしょうか?」
「おう、そんなに安くていいのですか?!もちろんお願いします」
そう言うと彼らは500円とお皿を出してきた。
私はそれを受け取りお皿に、ワンコスペシャル(犬の餌)を入れた。
「「へい、お待ち~!!」」
涼香の声が夜空に響き渡った!!