冒険者のゲオルギーさんの話では、このワンコ達は魔物だと言う。
そんな…、こんなに可愛いのに。
「お嬢ちゃんは魔物を見たことが無いのかい?」
え?お嬢ちゃん?!
どこにそんな人が居るんだろう?
キョロ、キョロ、
「おい、聞いているのかい?お嬢ちゃん」
また呼んでいる。
お嬢さん、呼んでますよ~!!
私は再び辺りを見渡す。
そして辺りは木々に覆われ真っ暗で私達以外、誰も居ないことに気づいた。
もしかしたら私達には見えない誰かを、ゲオルギーさんは見えるのかもしれない。
「違うわい!!俺の目の前に居る君のことだよ」
え!こんな30歳過ぎのおばさんをお嬢ちゃんなんて。
まあなんて、この子は…。
クネ、クネ、クネ、クネ、
「お嬢ちゃんではなく、スズカさんですよ。ゲオルギーさん」
そう商人のヤルコビッチさんに、たしなめられている。
「そうかスズカさんか、御免よ。ところでスズカさんはいくつなんだい?」
「三十…」
「え?三十?」
あ、いけない。
今の私は32歳ではなく17歳だった。
「17歳で~す!!」
「へ~、もう成人しているんだ。若く見るね」
成人?
若い?
17歳なら十分、若いと思うけど。
さっきの件で『若い』と『和解』をかけたのかな?
ここは笑うところなのかしら?
それともこの世界は、『お笑い』を目指す世界なのかしら。
そんな事を考えながら私達は焚火の周りに、それぞれ座り込んでいる。
「街で成人は、いくつからなのですか?」
「15歳からだよ。それにどの国でも15歳で成人して、親から離れるはずだけど」
成人が早く扶養家族の期間が短いと言う事は、それだけ生活自体が大変だと言うことね。生活に余裕があれば、親離れなんてしなくていいもの。
「実は私は両親と森の中に住んでおりましたので…」
と、ここで私はそれらしい身の上話を始める。
「母が死に父も亡くなり…。私1人では森に中の生活はできないので、思い切って森を出てきたと言う訳です」
「そうか。だから成人年齢も、知らなかったと言う事かい?」
「そうです、ゲオルギーさん」
「しかし、いくらなんでも魔物くらいわかるだろう」
「あ、いや、でも見たことが無かったもので…」
「でも体長が1.5m以上ある犬はいないだろう?」
うん、いない。
確かにいないけど異世界だからそれが普通かと思って…。
「それに額から角が生えているよね?角が生えている犬なんて見たことがない」
まあ、そうですけど。
それもありかな~と思って。
「特にこの銀色の毛並みの子は、角が2本縦に生えている。これはシルバーウルフの中でも上位の魔物の証だ」
「そうなのですか…」
異世界なら角もありだと思ってたけど違うんだ。
「それがこんなに大人しくしているとは。随分、スズカさんに懐いているようだな。魔物は自分より弱い者には従わないはずだからな」
「きっとスズカさんは特別なんだろう。先ほどから甘噛みばかりしてるからね」
冒険者のアレクサンデルさんがそう言えば、弓のジョヴァンニさんも言い始める。
「でもこれは甘噛みと言うより、普通に俺達なら食い千切られそうな気がするほど迫力があるけどな」
そんな馬鹿なことがある訳ないでしょう。
涼香は知らなかった。
転移前に女神ゼクシーに文明が遅れていると感染症が怖いから、健康で丈夫な体をお願いしていた。
しかしここは剣と魔法の世界。
強くないと生きていけない。
そう思った女神は防御力を増し増しに設定していたのであった。
無意識に鋼鉄のような硬さに出来る手を握って叩けば、大抵の魔物を屈服させることが出来るレベルだった。
『鉄の女』?
そんな…、こんなに可愛いのに。
「お嬢ちゃんは魔物を見たことが無いのかい?」
え?お嬢ちゃん?!
どこにそんな人が居るんだろう?
キョロ、キョロ、
「おい、聞いているのかい?お嬢ちゃん」
また呼んでいる。
お嬢さん、呼んでますよ~!!
私は再び辺りを見渡す。
そして辺りは木々に覆われ真っ暗で私達以外、誰も居ないことに気づいた。
もしかしたら私達には見えない誰かを、ゲオルギーさんは見えるのかもしれない。
「違うわい!!俺の目の前に居る君のことだよ」
え!こんな30歳過ぎのおばさんをお嬢ちゃんなんて。
まあなんて、この子は…。
クネ、クネ、クネ、クネ、
「お嬢ちゃんではなく、スズカさんですよ。ゲオルギーさん」
そう商人のヤルコビッチさんに、たしなめられている。
「そうかスズカさんか、御免よ。ところでスズカさんはいくつなんだい?」
「三十…」
「え?三十?」
あ、いけない。
今の私は32歳ではなく17歳だった。
「17歳で~す!!」
「へ~、もう成人しているんだ。若く見るね」
成人?
若い?
17歳なら十分、若いと思うけど。
さっきの件で『若い』と『和解』をかけたのかな?
ここは笑うところなのかしら?
それともこの世界は、『お笑い』を目指す世界なのかしら。
そんな事を考えながら私達は焚火の周りに、それぞれ座り込んでいる。
「街で成人は、いくつからなのですか?」
「15歳からだよ。それにどの国でも15歳で成人して、親から離れるはずだけど」
成人が早く扶養家族の期間が短いと言う事は、それだけ生活自体が大変だと言うことね。生活に余裕があれば、親離れなんてしなくていいもの。
「実は私は両親と森の中に住んでおりましたので…」
と、ここで私はそれらしい身の上話を始める。
「母が死に父も亡くなり…。私1人では森に中の生活はできないので、思い切って森を出てきたと言う訳です」
「そうか。だから成人年齢も、知らなかったと言う事かい?」
「そうです、ゲオルギーさん」
「しかし、いくらなんでも魔物くらいわかるだろう」
「あ、いや、でも見たことが無かったもので…」
「でも体長が1.5m以上ある犬はいないだろう?」
うん、いない。
確かにいないけど異世界だからそれが普通かと思って…。
「それに額から角が生えているよね?角が生えている犬なんて見たことがない」
まあ、そうですけど。
それもありかな~と思って。
「特にこの銀色の毛並みの子は、角が2本縦に生えている。これはシルバーウルフの中でも上位の魔物の証だ」
「そうなのですか…」
異世界なら角もありだと思ってたけど違うんだ。
「それがこんなに大人しくしているとは。随分、スズカさんに懐いているようだな。魔物は自分より弱い者には従わないはずだからな」
「きっとスズカさんは特別なんだろう。先ほどから甘噛みばかりしてるからね」
冒険者のアレクサンデルさんがそう言えば、弓のジョヴァンニさんも言い始める。
「でもこれは甘噛みと言うより、普通に俺達なら食い千切られそうな気がするほど迫力があるけどな」
そんな馬鹿なことがある訳ないでしょう。
涼香は知らなかった。
転移前に女神ゼクシーに文明が遅れていると感染症が怖いから、健康で丈夫な体をお願いしていた。
しかしここは剣と魔法の世界。
強くないと生きていけない。
そう思った女神は防御力を増し増しに設定していたのであった。
無意識に鋼鉄のような硬さに出来る手を握って叩けば、大抵の魔物を屈服させることが出来るレベルだった。
『鉄の女』?