朝食の忙しい時間も終わり私とシルバーは城門を出た。
 何故ならシルバーの食料になる魔物を狩らないとけないからだ。

 私達はどんどん森の奥に入って行く。
 状態異常を回復する薬草も、魔物も森の奥に行かないとなぜか居ないからだ。

 あった!!毒消し草ね。
 薬草も見つけたわ。
 キノコもたくさん採ろう。
 毒キノコでもネットスーパーで買取ってくれるので、どんどん採取していく。

 そしてしばらく進むとシルバーが魔物を見つけ倒していく。
 ホーンラビット(兎)が…。
 ワイルドボア(猪)が…。
 シルバーウルフ(狼)が…。
 ディアカーン(鹿)が…。
 キャタピラー(芋虫)が…。
 ビートルキラー(カブトムシ)が…。
 どれだけ魔物が居るの?
 しかも勢いで倒すのは良いけど、さすがに芋虫やカブトムシは食べれないよね…。

 そう言えばセサルの村のミラベルちゃん親子はどうしているのだろう?
 ちょっと寄ってみようかしら?

 そんなことを考えた時だった。
『助けて~!!』
 誰かが助けを呼んでいる。
 またお約束なの?
 頻度が多くない?

「シルバー、行くわよ!!」
ワフッ(あいよ)!!』

 私はシルバーの背に乗り声のした方に向うと、2mくらいの人型の魔物が何者かに追いかけられている。
 よく見るとスカートをはいた農民の格好をした女性3人が、とても普通なら持てそうもない大ぶりの剣を持ち魔物を追いかけている。

ブヒッ~(助けて)!!』

 魔物が叫ぶ!!!
 あれ?助けを求めているのは魔物の方?
 知能がある程度ある魔物となら、意思の疎通が出来るということ?

「逃げるんじゃないわよ、トロールめ!!」
「鈍くてトロいくせに逃げ足は速いのね!!」
「お肉~!!」
 バギッ!!
『う~、もっと生きたかった…ガクッ』
 するとあっと言う間に女性3人が魔物に追い付き、魔物を簡単に倒してしまった。
 しかも圧倒的な強さで…。

 倒される側の声が聞こえるのも考えものね。
 魚の活き造りをしている時に魚が口をパクパクさせながら、『痛いよ、痛いよ』と、言っていたら怖くてお刺身なんて食べれないよ~。

 しかしこれは何?
 どう見ても普通の主婦にしか見えないけど。
「さあ、血抜きをしてから村に帰るわよ!!」
「わかったわ」
 そう言いながら首の静脈を切り血抜きをしている。

「誰?!そこにいるのは!!出てきなさい!!」
 気づかれた私は隠れている訳には行かず姿を見せることにした。

「あれ?あなたはこの前、村に来てくれた人ね」
「はい?」
「本当だわ、あの時は助かったわ。ありがとう」
 どうやら3人の女性は私を知っているようだ。
「私のことを知っているのですか?」
「勿論、あなたはセサル村の恩人よ」
「セサル村の方だったのですね」
「村のみんなはあなたに感謝しているわ。お礼がしたいの。寄って行かない?」
「はい、私もセサル村に寄って行こうかと思っていたので」
「ちょうど良かったわね。ちょっと待っていてね」
 そう言うと3人の女性は2mはあるはずのトロールの脚と頭側を2人で持ち、お腹をもう1人で支え持上げた。
 何百kgあるのだろう?

 まるで夢を見ているようだわ。