う~ん。
 私は目を開けた。
 どうやら無事に転移できたようだわ。
 ここはどこだろう?
 と、言っても元々、ここが分からないけどね。
 あはは!
 どうやら道端に座り込んでいるようだった。

 立ち上がりズボンの裾の土を手で払う。
 よく見るとゲームの世界の商人のような恰好をしているようだ。
 歩きやすい様にズボンなわけね。

 まずは現状を確認。
 ステータスを確認するように言われたっけ。
 でも現実世界はゲーム機と違い、どこかにボタンがあるわけでもない。

 ステータス!!と強く念じると、情報が頭の中に入ってきた。
 名前:相川(あいかわ) 涼香(すずか)
 所持金:0円
 魔石:小5個、中3個、大30個(換金すると303,500円相当)
 換金用の魔石か。
 小が100円、中が1,000円、大10,000円てことね。
【スキル】異世界言語のお陰なのか、単位が円表示なのは助かるわ。
 でも女神様には『しばらく暮らせるだけのお金』と言ったはずなのに…。
 これでは2ヵ月も暮らせないわ。
 しかも他には何も入っていないんだもの。


 のどが渇いたな。
 あぁ、そうか通販サイトの能力で買えばいいんだ。
 どうすれば購入できるのだろうか?
 
 せめて『ヘルプ』機能があれば。
 そう思った時だった。
 ストレージの中に何かが入ったのがわかった。
『手紙』なんだこれは?

 私は何もない空間に手を入れることをイメージした。
 するとストレージの中から『手紙』を取り出すことが出来た。
 広げてみると女神ゼクシーからの手紙だった。

『は~い、貴方の女神ゼクシーよ。転移して右も左も判らないと思うから『ヘルプ』機能を付けたわ。何かあれば『マイク』マークをクリックして質問してね』

 ま、ご丁寧に。

『それから今いる場所は街から少し離れたところです。さすがに街中に転移は無理だから。この道を真っ直ぐに行けば、街に行けます。それからあなたが望んだ『ネットスーパー』は視界内で、タブレットを見る感覚で操作できるわ。やってみてね』

 え?なんですか?!
 頼んでいたのは通販サイトですねど。

 どれどれ、おぉ、できた!!
 視界の真ん中にタブレットくらいの大きさの画面が出て来た。
 つい左手でタブレットを持っている形になってしまう。

『それからあなたは途中から転移しているから、この世界で育った人より軟弱だから。ここは剣と魔法の世界、強くないと生きていけないわ。まあ、その分、体は丈夫にしてあるけど過信しないでね』

 体は丈夫?
 あぁ、あれ。
 健康で丈夫な体だよね。

『それと魔物は魔石を持っているから、倒すと売ることが出来るわ。売って生計を立ててね。ストレージに収納すれば、買取もしてくれるわ。そうしないと貨幣で買ってばかりいたら、その世界の貨幣が減ってしまうから』
 
 確かに、言われて見ればそうだ。
 しかし魔物と戦う術がないけどね。

『では良い旅を…』

 こうして私の旅が始まった。