私は冒険者登録を済ませ、ヤルコビッチさんのお店を目指して歩いている。
とは言っても冒険者ギルドを出て、真っ直ぐ進んだところにあるらしい。
店にはヤルコビッチ商会の看板がありますから、と言われたから。
シルバーは登録の際にギルドで渡された、使役されている魔物の証として赤い首輪を付けている。
まあ、可愛いのなんのって。
そしてネットスーパーで購入した、犬用のリードを付けて私と歩いている。
すれ違う人々がシルバーを見て、ギョッとした顔をしている。
そして立ち止まり道を開ける。
まあ、そうなるよね。
2mはある鋼の様なピカピカの毛並みの、大きな狼が歩いていたら怖いよね。
ヤルコビッチさんのお店はどこかな?
歩いていると2階建ての木造の建物が見えて来た。
あっ、あった。ここだわ。
1階は光を取り入れるためなのか、木戸が取り払ってある。
店の前は馬車なら、5台は横に並べて停められそうな広さね。
「こんにちは!!」
私は入口で声を掛けてみる。
「は~い」
奥から女性の声が聞こえる。
「お待たせいたしました」
そう言いながら20代後半の、金髪の髪を後ろで束ねた女性が出て来た。
「あの~、ヤルコビッチさんは、いらっしゃいますか?相川 涼香と申します」
「あなたがスズカさんね。主人からお話は伺っております。妻のリリーと申します」
奥さんだったんだ。
「まあ、大きな狼さんね。さあ、中へどうぞ」
「ありがとうございます。シルバーはここで邪魔にならない様に待っていてね」
『ウヮオ~ン』
私は奥の部屋に通され、しばらく待っていた。
私はソファーに座り周りを見渡す。
部屋の中は執務机と手前に応接セットが置かれている。
壁には本棚と絵が飾られ落ち着いた雰囲気を出していた。
「いや~待たせ致しました」
しばらくするとヤルコビッチさんがやってきた。
部屋に入り私の向かいのソファーに腰かける。
「いいえ、こちらこそ。旅から戻ったばかりなのにすみません」
「それはお互い様ですから。無事に冒険者登録は済みましたか?」
「えぇ、無事に登録できました」
「それはよかった。ではこれからのことを話しましょうか」
「よろしくお願いいたします」
「まずスズカさんは冒険者で、やっていくお気持ちは無いのですね」
「そうです。魔物討伐なんてやったことがありませんから」
「では獣人専用の食堂を始めてはどうでしょうか?」
「ジョヴァンニさん達はまた食べたいと言ってくれましたが、本当にそれでやっていけるのでしょうか?」
「やっていけると思いますよ。この王都の3割の人は獣人です。特に猫族や犬族の人は多いので十分に採算が取れますよ」
「それなら良いですけど」
「以前に店として使っていた空き家があります。そこなら丁度、良いと思います」
「貸して頂けるのでしょうか?」
「はい、勿論です。それから前にもお話ししましたが、街に慣れるまでは目立つことはなさらない方が良いと思います」
「わかりました。では街のことを教えて頂きたいのですが」
「どんなことでしょうか?」
「月いくらくらいあれば生活できますか?」
「そうですね、まず一日の平均賃金が3,000円から5,000円ですね」
「住居はどうでしょうか?」
「王都は城壁の中にあり土地が限られますので、地価が高く家を借りればワンルームでも月10万くらいでしょう」
「そんなにするのですか?」
「えぇ、そこで自炊を考えたら、宿屋なら食事付きで1日2,000~3,000円で泊れます。そのため宿屋暮らしの人が多いのです」
仕事はあっても手に職が無い私が、出来ることは給仕くらいしかない。
それでも1日3,000円はもらえないようだ。
この国は仕事が少なく、格差があり女性の地位が低いそうだ。
女性はどうやって暮らしているのだろう?
ヤルコビッチさんに聞くと住込みで働くか、結婚をして共稼ぎで働くかだそうだ。
まあ若い女性なら他にも稼ぐ方法はありますが…、と言葉を濁されたけど…。
なんだったのかしら?
しかし手元にあるのは両替した25万円、宿屋に泊っても3ヵ月も暮らせない。
「貸して頂ける空き家は、どのくらいの大きさなのでしょうか?」
「ここよりは手狭ですがスズカさんが、1人でやる食堂なら丁度良いと思います。今日はお疲れでしょうから、明日見に行きませんか?」
「はい、ぜひお願いします」
「では今夜は店の近くの宿屋に泊ると良いでしょう。シルバーは馬小屋を使わせてもらえるように私が話を付けておきましょう」
そう言うと私達は近くにある宿屋に向った。
宿屋はヤルコビッチさんの知り合いらしく、シルバーは馬小屋を使わせてもらうことになった。
賃貸物件を見に行くのは、明日の朝ご飯を食べてから行くことになる。
夕食の時間になり2階の部屋から出て1階の食堂に降りていく。
そこそこ泊り客がいるようで、すでにテーブルに付いている人が何人か居る。
私は他の人の真似をして厨房前に並ぶとトレーを渡された。
その上にはスープの入ったカップにパンが乗っていた。
スープの中身はニンジン、タマネギ、エンドウ豆のような野菜の煮込みだった。
スプーンを使い口に入れると、味付けがされていなのか調味料の味がしなかった。
そして10cmくらいある丸いパンは茶色で硬かった。
パンの化石?
これでどうしろと?
とは言っても冒険者ギルドを出て、真っ直ぐ進んだところにあるらしい。
店にはヤルコビッチ商会の看板がありますから、と言われたから。
シルバーは登録の際にギルドで渡された、使役されている魔物の証として赤い首輪を付けている。
まあ、可愛いのなんのって。
そしてネットスーパーで購入した、犬用のリードを付けて私と歩いている。
すれ違う人々がシルバーを見て、ギョッとした顔をしている。
そして立ち止まり道を開ける。
まあ、そうなるよね。
2mはある鋼の様なピカピカの毛並みの、大きな狼が歩いていたら怖いよね。
ヤルコビッチさんのお店はどこかな?
歩いていると2階建ての木造の建物が見えて来た。
あっ、あった。ここだわ。
1階は光を取り入れるためなのか、木戸が取り払ってある。
店の前は馬車なら、5台は横に並べて停められそうな広さね。
「こんにちは!!」
私は入口で声を掛けてみる。
「は~い」
奥から女性の声が聞こえる。
「お待たせいたしました」
そう言いながら20代後半の、金髪の髪を後ろで束ねた女性が出て来た。
「あの~、ヤルコビッチさんは、いらっしゃいますか?相川 涼香と申します」
「あなたがスズカさんね。主人からお話は伺っております。妻のリリーと申します」
奥さんだったんだ。
「まあ、大きな狼さんね。さあ、中へどうぞ」
「ありがとうございます。シルバーはここで邪魔にならない様に待っていてね」
『ウヮオ~ン』
私は奥の部屋に通され、しばらく待っていた。
私はソファーに座り周りを見渡す。
部屋の中は執務机と手前に応接セットが置かれている。
壁には本棚と絵が飾られ落ち着いた雰囲気を出していた。
「いや~待たせ致しました」
しばらくするとヤルコビッチさんがやってきた。
部屋に入り私の向かいのソファーに腰かける。
「いいえ、こちらこそ。旅から戻ったばかりなのにすみません」
「それはお互い様ですから。無事に冒険者登録は済みましたか?」
「えぇ、無事に登録できました」
「それはよかった。ではこれからのことを話しましょうか」
「よろしくお願いいたします」
「まずスズカさんは冒険者で、やっていくお気持ちは無いのですね」
「そうです。魔物討伐なんてやったことがありませんから」
「では獣人専用の食堂を始めてはどうでしょうか?」
「ジョヴァンニさん達はまた食べたいと言ってくれましたが、本当にそれでやっていけるのでしょうか?」
「やっていけると思いますよ。この王都の3割の人は獣人です。特に猫族や犬族の人は多いので十分に採算が取れますよ」
「それなら良いですけど」
「以前に店として使っていた空き家があります。そこなら丁度、良いと思います」
「貸して頂けるのでしょうか?」
「はい、勿論です。それから前にもお話ししましたが、街に慣れるまでは目立つことはなさらない方が良いと思います」
「わかりました。では街のことを教えて頂きたいのですが」
「どんなことでしょうか?」
「月いくらくらいあれば生活できますか?」
「そうですね、まず一日の平均賃金が3,000円から5,000円ですね」
「住居はどうでしょうか?」
「王都は城壁の中にあり土地が限られますので、地価が高く家を借りればワンルームでも月10万くらいでしょう」
「そんなにするのですか?」
「えぇ、そこで自炊を考えたら、宿屋なら食事付きで1日2,000~3,000円で泊れます。そのため宿屋暮らしの人が多いのです」
仕事はあっても手に職が無い私が、出来ることは給仕くらいしかない。
それでも1日3,000円はもらえないようだ。
この国は仕事が少なく、格差があり女性の地位が低いそうだ。
女性はどうやって暮らしているのだろう?
ヤルコビッチさんに聞くと住込みで働くか、結婚をして共稼ぎで働くかだそうだ。
まあ若い女性なら他にも稼ぐ方法はありますが…、と言葉を濁されたけど…。
なんだったのかしら?
しかし手元にあるのは両替した25万円、宿屋に泊っても3ヵ月も暮らせない。
「貸して頂ける空き家は、どのくらいの大きさなのでしょうか?」
「ここよりは手狭ですがスズカさんが、1人でやる食堂なら丁度良いと思います。今日はお疲れでしょうから、明日見に行きませんか?」
「はい、ぜひお願いします」
「では今夜は店の近くの宿屋に泊ると良いでしょう。シルバーは馬小屋を使わせてもらえるように私が話を付けておきましょう」
そう言うと私達は近くにある宿屋に向った。
宿屋はヤルコビッチさんの知り合いらしく、シルバーは馬小屋を使わせてもらうことになった。
賃貸物件を見に行くのは、明日の朝ご飯を食べてから行くことになる。
夕食の時間になり2階の部屋から出て1階の食堂に降りていく。
そこそこ泊り客がいるようで、すでにテーブルに付いている人が何人か居る。
私は他の人の真似をして厨房前に並ぶとトレーを渡された。
その上にはスープの入ったカップにパンが乗っていた。
スープの中身はニンジン、タマネギ、エンドウ豆のような野菜の煮込みだった。
スプーンを使い口に入れると、味付けがされていなのか調味料の味がしなかった。
そして10cmくらいある丸いパンは茶色で硬かった。
パンの化石?
これでどうしろと?