目が覚めた。
 知らない風景だ。
 別に酔った勢いで誰かと朝を迎えた覚えはない。

 まあ、そうね。
 死んだばかりだもの。

 私の名前は相川(あいかわ) 涼香(すずか)
 元32歳。
 気が付くと白い靄のようなものに包まれた場所にいた。
 私の目の前には市役所の様なカウンターに緑色の長い髪を、ポニーテールに束ねたメガネ女子がいたわ。

 その人は女神ゼクシーと名乗り、私は死んだと言われた。
 死因等はもう済んだことであり、未練が残っても困るので教えないそうだ。
 それに未練を残さない様に、家族の記憶も曖昧になって行くそうだから。
 今さら知っても済んだことは仕方ないと言われた。
 まあ、そうだけど。

 そして説明を受けた。
 このまま輪廻転生の波に吞まれ、記憶を消され魂を浄化した後に人か虫かは分からないけど生まれ変わること。
 人か虫ですか?と聞くとダニかもしれないわ。運次第だものだって。
 なんだそれ?
 もう1つは彼女の管理している世界『エニワン』に転移して、記憶はそのままで人としてもう一度人生をやり直す事もできるようだ。

 勿論、私は転移に飛びついた。
 ダニとか言われたら普通、引くでしょう?

 どんな世界なのか聞くと、剣と魔法の世界だという。
 判りません…。
 行ったことが無いから。

 でも虫とかではなく、人としての知識はそのままで生きられるのはいい。
 年齢も変えられると言う。
 それなら年齢は生まれ変われるなら、輝いていた17歳を希望した。

 願いはあるのか、と聞かれたので、その世界のことが分からない。
 文明が遅れていると感染症が怖いから、健康で丈夫な体をお願いした。
 それと異世界言語と読み書きを付けてくるそうだ。
 言葉や読み書きが出来ないと困るから助かるわ。

 それと行ってみないと何が必要になるか分からない。
 不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と私は言った。

 通販サイト?
 無理でしょうか?
 そ、そんなことないわよ、わ、私を誰だと思っているの。女神ゼクシーだぞ。
 そう言うと彼女は断崖絶壁な、絶望と言う名の胸を叩いて見せた。

 所持金が無いから換金用の魔石と、収納にストレージと言うのももらえるそうだ。
 そこに購入したものを置いておくことが出来るらしい。



 あなたには特に世界を変えるような大きなことは期待していないわ。文明が低迷してもう千年近く進んでいないの。だからあなたが転移し生活することで、周りに何かの刺激を与えてくれればいいからね。
 転移したらまず、自分のステータス確認してね。

 その言葉を最後に、私は眠りに落ちていった。