「リズ、今日も可愛いね」
「ありがとうございます、ルイス様」

 私とルイス様はガゼボでアフタヌーンティーを楽しみながら二人でいつものように甘いひとときを過ごす。
 目の前にいるルイス・シュタリー様はこの国の第一王子で、その麗しい銀色の髪と碧眼で女性の皆を虜にしてしまう。
 そんなルイス様と私は7歳からの婚約者で、ルイス様の成人と共に結婚することが決まっている。


「どうした? 今日は浮かない顔じゃないか」
「そうですか? そんなことないですわ。ルイス様と一緒に過ごせて嬉しいとぼうっとしてしまいました」

 そう言うと、ルイス様はふっと微笑むみ椅子から立ち上がって私の左側に跪くと、そのまま私の手を取って唇とつける。

「ルイス様っ?!」
「本当に君は可愛いことを言うよ。益々好きになってしまう」


 私は顔を赤くしながら、ルイス様の見目麗しい姿を目に焼き付ける。
 そんな時、ルイス様付きの執事が遠慮がちに声をかけてきた。

「ルイス殿下、これ以上はお身体に触ります」
「まだ大丈夫だ」
「いえ、ルイス様。私は大丈夫ですから、そろそろお戻りになってください。だいぶ外も寒くなってきましたから」
「リズ……」

 ルイス様は申し訳なさそうに私のおでこに唇をつけると、部屋の中へと入っていった。


 家についてからもルイス様のことが頭から離れなくて、私はベッドの上で天井を見上げては目を閉じてルイス様の顔と声を思い出す。
 お身体は大丈夫だろうか?
 でもいつもこの貴重な時間を私に使ってくださる。
 なんてお優しいのだろうか。

 私は窓から見える月を眺めてそっと呟いた。


「大好きです、ルイス様──」