今日は珍しく湊が家に来ている。

過保護な湊の両親が家を開けるため一緒にいてほしいと、頼まれたのだ。
もう高校生だから!と断ったのだが、
勉強教えて貰えばいいじゃない!
という私の母親の熱い気持ちに負けてしまった。


「おじゃましまーす!」


生憎、両親は先程家を出てしまった。二人だけの空間だ。
久々に湊としっかり話すように思う。
胸のドキドキが鳴り止まない。
恋焦がれている人が目の前にいるのだ、だれだって、そわそわするに違いない。



私は湊が今、どんな気持ちを抱いているのか知る由もない。両思いだったらいいな、という私の不純な気持ちを湊は知らない。

あの時の湊もそんな気持ちだったのだろうか、勉強道具の準備をする横顔を見ながら、ふぅと息を吐いた。