湊と一緒に歩く、体にあたるそよ風が気持ち良い。



「そういえばさー、ーーーーー。」


隣で歩く彼の横顔を見ていると胸がきゅーっと音を立てたかのように苦しくなる。
歩幅を合わせて歩いてくれる所、話す時は相手の目を見て話す所。
湊を好きになってからというもの、今まで気付くことのなかった魅力がどんどん溢れ出す。



好き、という感情すら分からなかった私が、これは恋だ!と感じることのできるくらい彼への気持ちは昂っていたようだ。自分でも心底びっくりしてしまう。



高校を卒業すると、彼の顔も、声も、感じることができなくなるのであろう。

そんなことを考えていると、吹っ切れたかのように、

「俺、上京するから、!」

と発した彼の姿を思い出した。