「ひよりー!頑張れー!」「勉強頑張れよー!」

私の親友である莉子をはじめとしたクラスメイトが校庭の真ん中から教室に残る私に声をかけてくれた。大学受験を控えている私は2年生になって、こうやって放課後に勉強する時間が増えたように感じる。


他の人の邪魔にならないように窓から大きく手を振り、自分の机に積み上げられた参考書をぱらぱらとめくった。


私の他にも教室には同じように勉強している生徒が数名残る。ペンを走らせる音が心地よい。



どれくらい時間が経ったのだろうか、いつの間にか目標としている時間に到達していて帰る準備を始めた。

恋心を抱く彼がいる隣の教室を横目に見ながら廊下を一人歩く。

湊への気持ちを自覚して自然と姿を追ってしまっている。そんな自分を封印しそそくさと早足で帰路に着いた。