桜の舞う校庭を見下ろしながらふと思い出す。



紅くなった頬を隠すように俯きながら話があると声をかけられて来てみると、呼び出した張本人である、湊がつぶやいた。


「ずっと前から好き、でした。」


そんな彼からの気持ちに私は断りを入れた。 
咄嗟に出た自分の言葉に驚きつつも気まずい雰囲気が漂う教室を後にした私自身に今、後悔している。



小さい頃から一緒にいて仲のいい友達、所謂幼なじみから衝撃の告白を受けたあの春からもう少しで一年が経とうとしていた。



誰にも言えないこの恋心。
あの時「はい」と言えていたらどんなに良かっただろうか。今更後悔していても、断ってしまった事実は変えることのできない。私と彼の間には未だ、気まずい空気が流れている。