アレックスに殺される前に、シルフィンに殺される方が正解かもしれない。誰よりも王を想う澄んだ少女の瞳を見ているとそう思ってしまった。
「そうです。ごめんなさい」年下の女の子に真正面から頭を下げて、心から泣いて謝罪する。こんな心を痛めての謝罪なんていつ以来だろう。泣いてすむ問題じゃないし、私より泣きたい子を前にして涙を見せるなんて……ダメな大人です。
「泣かないで下さいリナ様。責めてはおりません」
「でも……」シルフィンの気持ちを考えたら泣けてしまう。
「私は王様も大好きですが、リアム様も大好きです。みんなそうです。騎士団長であるリアム様はみんなに尊敬されていて、王と同じくらい誇れる方です」
「シルフィン」
「それに、王様が考えもなくリアム様と剣を交えるはずがありません。何か考えがあると思います」
大人の私が泣き叫んでるのに、シルフィンは冷静だった。闘う二人を覗き込むシルフィンにならって、私も大きなツバメの背から二人を見る。剣が火花を起こす勢いの接戦なんだけど、気のせいかアレックスの顔が楽しそう。私の視線を感じたのか、リアムが視線をアレックスから外した瞬間「油断するな!」とアレックスの大きな声がして、リアムの剣を手元から奪い、リアムは観念したようにその場に倒れ込んだ。
「リアム!」
アレックスに負けないぐらい大きな声で彼の名を叫ぶと、シルフィンは私の腕をつかんで二人の元に瞬間移動してくれた。私はリアムとアレックスの間に飛び出してアレックスの顔をにらんだ。
「私が全部悪い。殺すなら私にして」
「リナは下がってろ!これは俺とアレックスの問題だ」
「黙ってられないでしょ。もとはと言えば私が飛ばされて現れたのが悪いんだから」
「リナは救世主だ。魔王を滅ぼす力を持っている大切な存在だ」
「この石頭!」
不器用で意地っ張りで、私達はなんて似ているのだろう。こんな殺されそうな場所で口論する私達を見て、アレックスはお腹を抱えて爆笑した。
王様は笑い上戸だ。また変なツボにはまったのだろうか?柔らかそうな金髪が揺れ、うっすらと暗くなった夜の始まりの空に輝いていて綺麗だった。
「本当にお前たちは……見ていて楽しい」
そして自分の剣を戻し、スッと片手をリアムの前に差し出した。
「やっと私の名前を呼んでくれたな。リアムから私の名前を聞いたのは、もう何十年振りだろう」
いつもの優しい、穏やかな王の微笑みだった。リアムはアレックスの手を取り立ち上がると、私の肩をしっかりと抱き寄せて私の顔を見つめる。
「心配したんだから……」
「悪かった」
「私こそ……ごめん」
ぎゅーっと力強く抱きしめられる。もっともっと、強く強く抱きしめてほしい。
よかった。無事で本当によかった。
「そうです。ごめんなさい」年下の女の子に真正面から頭を下げて、心から泣いて謝罪する。こんな心を痛めての謝罪なんていつ以来だろう。泣いてすむ問題じゃないし、私より泣きたい子を前にして涙を見せるなんて……ダメな大人です。
「泣かないで下さいリナ様。責めてはおりません」
「でも……」シルフィンの気持ちを考えたら泣けてしまう。
「私は王様も大好きですが、リアム様も大好きです。みんなそうです。騎士団長であるリアム様はみんなに尊敬されていて、王と同じくらい誇れる方です」
「シルフィン」
「それに、王様が考えもなくリアム様と剣を交えるはずがありません。何か考えがあると思います」
大人の私が泣き叫んでるのに、シルフィンは冷静だった。闘う二人を覗き込むシルフィンにならって、私も大きなツバメの背から二人を見る。剣が火花を起こす勢いの接戦なんだけど、気のせいかアレックスの顔が楽しそう。私の視線を感じたのか、リアムが視線をアレックスから外した瞬間「油断するな!」とアレックスの大きな声がして、リアムの剣を手元から奪い、リアムは観念したようにその場に倒れ込んだ。
「リアム!」
アレックスに負けないぐらい大きな声で彼の名を叫ぶと、シルフィンは私の腕をつかんで二人の元に瞬間移動してくれた。私はリアムとアレックスの間に飛び出してアレックスの顔をにらんだ。
「私が全部悪い。殺すなら私にして」
「リナは下がってろ!これは俺とアレックスの問題だ」
「黙ってられないでしょ。もとはと言えば私が飛ばされて現れたのが悪いんだから」
「リナは救世主だ。魔王を滅ぼす力を持っている大切な存在だ」
「この石頭!」
不器用で意地っ張りで、私達はなんて似ているのだろう。こんな殺されそうな場所で口論する私達を見て、アレックスはお腹を抱えて爆笑した。
王様は笑い上戸だ。また変なツボにはまったのだろうか?柔らかそうな金髪が揺れ、うっすらと暗くなった夜の始まりの空に輝いていて綺麗だった。
「本当にお前たちは……見ていて楽しい」
そして自分の剣を戻し、スッと片手をリアムの前に差し出した。
「やっと私の名前を呼んでくれたな。リアムから私の名前を聞いたのは、もう何十年振りだろう」
いつもの優しい、穏やかな王の微笑みだった。リアムはアレックスの手を取り立ち上がると、私の肩をしっかりと抱き寄せて私の顔を見つめる。
「心配したんだから……」
「悪かった」
「私こそ……ごめん」
ぎゅーっと力強く抱きしめられる。もっともっと、強く強く抱きしめてほしい。
よかった。無事で本当によかった。