薄いドレスを脱がされて、リアムも自分の服を脱ぎ素肌を重ねる。彼の腕の中は広く、キスは甘く、どこまでも甘く優しい。
 月夜に照らされ彼に抱かれる。それはとても満たされた行為であり、愛で溢れていて何度も声を押さえるくらい、幸せなふたりだけの時間だった。あんなに俺様なのに、すごく慎重に優しくてギャップに驚いてしまう。

 行為が終わってもその胸の中に包まれ、安心と幸せを感じていた。
 もう不安はない、迷いもない。戻りたいとも思わない。初めて声に出して言える『私はここで生きていく。リアムと一緒に生きていく』って。昨日までの中途半端な自分にさよならだ。
「少し寝たらいい」
「うん」私は甘えて彼の胸に顔を埋めた。彼は私の髪にキスをして「愛してる」と甘く囁いた。
「私も愛してる」
 この世界で、あなたをずっと愛し続ける。彼の手を捜してそっと指を絡める。彼の左小指の付け根にあるのは銀の指輪。この世界では、結婚している人はもちろんだけど、普通に男性も指輪を着けている人が多い。魔除けの意味があるらしい。
「どんな意味があるの?やっぱり魔除け?」
「これは母の形見だ」
「お母様の?」
「白百合の花が刻まれている」
 リアムは指輪を外して私の右手を優しく取り、それをそっと私の中指に収めた。
「ダメだよそんな大切な形見」指から外そうとすると、また抱き寄せ私の首筋に甘いキスをする。
「受け取ってほしい」
「でも……」
「母にリナを守ってほしい。もちろん俺も全力で守る。自分の命に代えてもリナを守る」
 命に代えてなんてそんな不吉な事を言わないでほしい。情けない顔でリアムの顔を見ると、彼は優しく笑顔を見せた。
「フレンドと同じ顔をしている」
「えっ!」あの泣き虫甘ったれドラゴンと?
「両方可愛い」
 あぁ本当にズルい。いつもの厳しい顔なのに、ベッドの上ではこんなに甘くて優しいなんて。
「愛してる」
「私も」
 ずっとずっとこの幸せな時間が続きますように。物語の終わりがハッピーエンドで終わりますように。