いいかげん前に進もう。
「もういいよ、自分の荷物は片づけたんでしょう」
「里奈……」
「さよなら」
 私がそう言ってプイっと横を向くと、サイドボードのガラス越しに移った彼は安堵の笑顔を見せていた。
 ちょっと!そこで笑顔ってどーなの?くやしいーー!!もっと粘って嫌味をガンガン言えばよかった。
「ありがとう」彼はそそくさと席を立ちポケットから部屋の鍵を取り出した。そして「これ、もういらないよね」って、テーブルの上にあるゼクシィと鍵をチェンジして、逃げるように部屋を出て行った。
 おいっ!それを持って逃げるんかい!式を挙げる気なんかい!
 くやしいーーー!!!
「転んでゼクシィに頭ぶつけて死んでしまえっ!」
 私が大きく叫ぶと、扉の奥で階段から足を踏み外したような叫び声が聞こえた。
 ざまみろ
 本当にざまみろ。

 あ……やっぱり泣ける。

 
 宮本里奈

 
 見事に捨てられました。