「感動したろうリアム」
 アレックスは遠くを見てそう言った。えっ?リアムもいたの?アレックスの目を追うと確かにリアムはそこに居た。
 そして「はい」と一言だけ返事をする。
「『はい』だけか?物足りないな。リナは素晴らしい女性だ。私の妃になってほしい」
 アレックスがそう言うと、城中に大きな動揺が走った気がした。またいつもの冗談だよね。笑って返事をしようとすると、アレックスの様子がなんか違う。真剣な顔で私を見ていた。
 えっ?ちょっと!おふざけが過ぎますよ王様っ!今日は領主様のご令嬢がいっぱい来てるんだよ。他の国からもお姫様クラスがいっぱい来てるよ。みんなイケメン王様の嫁になる気満々で来てるんだよ!その冗談は笑えませんよ。

 でも流れ的に冗談じゃないみたい。どうしよう。
「リアム。私はリナを妃にもらおうと思ってる。騎士団長の意見はどうだろう?」挑戦的にアレックスは大きな声を出している。だからどうしてそこでリアムなの?パクパクと口が金魚になってしまう。酸素が欲しい。どうしてこの展開になるの?私もジッとリアムを見つめていたら、リアムは「王様の心のままに」と言って、背中を向けてホールを出て行ってしまった。
 リアム……いいの?それでいいの?やっぱり私の事なんて、何とも思ってなかったの?呆然と立ちすくんでいたら
目の前にアレックスがひざまずく
「結婚してくれるかいリナ?」
 誕生日に王様にひざまずかせて、プロポーズを断ったら恥をかかせてしまう。それ以前に国外追放されて、生きたまま獣虫のエサになっても不思議じゃないだろう。

 どっちにしろ、王様の命令は絶対だ。
 私は「はい」と小さく返事をすると、城中が大歓声に包まれた。
 もう
 どうにでもなってしまえっ!!!