めったに笑わない人の笑顔は魅力的だ。それってズルい。
「他国から来たリナに教えてもらうとはな」
「誰だってわかるでしょう」
 リアムの指が私の左手を撫で、薬指にある珊瑚の指輪をなぞる。
「美しい指輪だ」
「ありがとう」私のじゃないけど……。リアムはそっと珊瑚に唇を重ねてから、私の瞳をジッと見つめる。
 
 そっと自然に、どうしてそうなったのか私達もわからない
 静かなる波の音が心地良いのか、海風が心地よいのかよくわからない。彼の美しいヘーゼルの瞳が悪いのかもしれない

 私はリアムと唇を重ねた。
 静かなキスだった。
 しっとりと包み込むような彼の唇が重なり、そのまま私達は砂の上に崩れ身体も重なる。アレックスが崩れるようなキスならば、リアムは溶けるようなキスだろう。
 慎重にそっと優しく、甘く甘くどこまでも甘いキス。男らしく強い騎士団長には似合わないような、優しく甘いキス。顔を上げて見つめ合う。無造作にひとつにまとめた彼の髪が夕陽を浴びてキラキラ輝く。
 そっと手を伸ばし頬に触ると、彼の長い指も私の頬を触る。互いを確認し合い求め合う。
 キスを繰り返しながら、彼の指がドレスの小さなボタンを外し、コルセットの間にある胸の谷間に顔を埋めて、ドレスの下から手が入った瞬間

「リーアームーさーまーーー!!!」

 遠くからジャックの声が聴こえ
 そこでお互い。やっと目を醒ます。酔った弾みじゃないけれど、勢いでこんな感じになって我に返った時が、一番
気まずく恥ずかしい。