そして「仲がいいね」とツボに入ったように笑うので、リアムはマントをひるがえして「失礼します」と行ってしまった。「逃げられたか」アレックスは黄金の髪をかき上げまだ笑う。
 もう……知らない。
「用件は何でしょうか?」棒読みでアレックスに聞くと「うん……うん……ちょっと待ってほしい」と、アレックスの笑いが止まらない。笑い上戸なのね王様は。
 もう……まぁ……しょうがないか。
 急に恥ずかしくなって照れ笑いをする私を見て「リナが傍にいると楽しい」と私の肩を抱き、空いた方の片手を上げてヒラヒラ動かすと、私の身体はふわりと浮かぶ。そして瞬きする間に瞬間移動した。

 ここはどこ?
 石造りの壁はお城の中に間違いない。お城も広いし迷路みたいだから、まだどこがどこだかわからない。魔法が使えず瞬間移動ができない私にとっては未知の領域である。
 ブルーの大きな扉がそこにあった。アレックスは人差し指を口に当てて「静かに」と一言私に告げる。私も小さく「はい」と返事をして、金のドアノブを握るアレックスを見上げると「リナにピッタリの仕事がある」王様は私にそう告げた。
「魔法が使えなくても大丈夫?」恐る恐る聞くと、アレックスはいつもの癒し系の笑顔を見せるので、私は心からホッとする。 よかったー。これでリアムに後ろ指を指されなくてすむ。
「まだ子供でね」
 子供?子守かな?
「遠い国から献上された大切な子なんだ。臆病で甘えん坊で泣き虫だけど、子供と思って許して欲しい」
「はい」
 頑張ります!追い出されて生きながら喰われるのは嫌だ。でも献上って言った?気のせいかな。

「名前はフレンドと言う」
 アレックスが扉を開くと、とても広い部屋に通された。運動場レベルの広さで、ここからでは端が見えない。