「シルフィンのおばあ様は素敵なおばあ様だったのね。きっと今も見守ってくれているよ」
「ありがとうございます」
「アレックスはさすが王様だ」
「はい。だから今度は……何があろうと、私は王様を救いたいのです。私もリアム様も城のみんなも、国民も一番の願いです。王様はあきらめてますが、絶対あきらめてはいけません。王様はみんなに尊敬されて好かれていて偉大な王様なのです」シルフィンの声がうわずる。
 ん?どうしたの?何かあるの?話がたまに見えない。
「シルフィン?あの……」わけわからない顔でシルフィンを見ると「リナ様は知らないのですね」ってあらためて言われてしまった。はい。何も知らない能天気な無能者です私。

息を整えてシルフィンが何か言おうとした時
「リナ様!シルフィ―ン!」背後から声が聞こえて振り返ると、爽やか鳥青年ジャックが馬にまたがっていた。
「捜しましたよ。リナ様を王様がお呼びです」ジャックは馬から降りてそう言った。
「それでは私は街に用事がありますので、ジャックと城に向かって下さい」
「送ろうか?」
「近いから大丈夫。リナ様をお願いします」シルフィンは可愛らしく私に会釈をして行ってしまった。

「あ……」大切な話を聞きそびれてしまった。
「手をお貸ししますね」
 ジャックは私の身体をひょいと持ち馬に乗せ、自分も私の後ろに乗り手綱を持つ。
 ゆっくりと馬は動き、見晴らしの良さに感動してしまう。乗馬って感じがする。昨日も乗ったけど、リアムに飛ばされて落ちないように頑張るので必死だった。今日は優雅だ。
「街はいかがでしたか?」
「楽しかった。お城で落ち込んでたから気分転換になった」
「それはよかったです」ジャックは嬉しそうにそう言ってくれた。
「魔法の話も勉強した」
「そうですか。単純でしょう?」
「ジャックから見れば単純だけど、難しい」
「魔法を使わないで生活する方が想像つかないですよ。リナ様の世界は凄いですね」
 逆に言われてしまった。とらえ方は色々だねぇ。