その日から
雨の日も風の日も、騎士リアムは時間を作り海辺に佇む。
騎士リアムは長身で手足は長く、濃いブラウンの長い髪をひとつにまとめ遠くを見つめていた。
スッと通った鼻筋に形の良い少し薄い唇。彼の一番の魅力は凛としたヘーゼルの瞳だろう。その瞳に射抜かれたなら女は誰でも夢中になってしまう。キリリとした端正な顔立ちだけではなく、リアムは剣の腕も強く誰にも負けない腕前を持っていた。
王に忠誠を誓った騎士。国の為に王の為に、心も身体も捧げる強い意志が彼にはある。王を助けたい、国を助けたい。愛馬と共に彼は海からやってくる救世主を祈りながら待ち続けていた。
あれから季節は巡り、今は夏の始まり。
夏が終われば秋が来て、この国は魔王に滅ぼされてしまう。焦る気持ちを落ち着かそうとリアムは深いため息をつきながら海岸線をいつまでも見つめる。
我々が全力で戦っても魔王には勝てないだろう。王は言葉には出さないが自分の首を魔王に差し出そうとしている。
神よ……最強の魔法使いを私たちにお使い下さい。
誰にも負けない魔法を使える、魔王に対抗できる力を持つ最強の救世主を我らに……。