到着したのは豪華なお城。
 大きな大きな大きなお城で、ディズニー映画に出てくるような美しいお城だった。
 重厚な門から見て目立つのは中央にそびえる高い塔だ。その塔は雲の上まで続いていて、空を突き破りそうな勢いの高さがあり、その左右にある円柱状の白い建物を軸にして、バランスを取りながら美しく豪華に広がっている。
 門に入ると色鮮やかな花々とプールのような大きい噴水に迎えられ、感動の声を上げ奥へと進む。城の入口で私は馬から下ろされ、男のマントで身体を包みながら、拘束されて城の奥へと進んだ。囚人みたいで悲しい。

「灯りも点けずに」
 不機嫌そうに男はそう言って軽く手を上げると、高い場所にあるキャンドルが次々と点火され古城に灯りが点く。やっぱりイリュージョン。キャンドルの灯りが揺れる仕草は、とっても優しくて温かい。
 どれだけ歩いたのだろう。ちょっと疲れた頃に男は立ち止まり、海に光が射しているような模様が描かれている両開きの扉を開くと。

 そこはまた別世界。
 キラキラしたシャンデリアが輝き、天井画では青い空に天使がラッパを吹きながら飛び回っていた。2mほどの窓が5つ並び、そんな大きな窓があっても天井はまだまだ高くて余裕がある。壁は真っ白。高そうな食卓テーブルは大理石だろうか。卓上には金の果物皿があり、その皿にはリンゴ・オレンジ・桃・キーウィ・ぶどう・パパイヤ……沢山の果物を見て、こんな場面なのにお腹が空いてきた私だった。
 そんな物欲しそうな私の気配に気付いたのか、奥の方から白い生物がゆっくり動いてテーブルに近寄り『お前にはあげないよ』的なオーラを出して、果物をむしゃむしゃ食べ始めた。それは絵本でしか見たことのないユニコーンだった。
 ユニコーンって想像上の生き物では?
 さっき乗って来た立派な白馬のミニミニサイズ。私の身長より低い仔馬だけど、真っ白なたて髪に黄金の角が生えてある。フェイク?いや馬のくせに上から目線を感じてしまう。圧がすごい。絶対私より上だと思ってるでしょ。空腹のせいかユニコーンにケンカを売りそうになってしまう。そんな私の肩を、男は強い力で押さえ込んだ。