きちんとリビングで冷静に質問に答えてもらおうと思っていたのに、こんな展開になってしまった恥ずかしい。
「あれから、どうなったの?」
裸のまま、ベッドの中で彼の腕に抱かれて質問をする。
「あれから……俺は狂ったようにリナを捜した。国を救えた事より、リナが消えてしまったショックの方が大きかった」その時の気持ちを思い出したのか、リアムは切ない声でそう言ってから、私をまた抱きしめて話を続ける。
あの後
足元が揺れたと思ったら地面が崩れ、引きずり込まれたように私の姿は亀裂に入り込み、みんなが手を貸す間もなく亀裂は閉じて、元に戻ったようだ。私は立っていた神殿の地面に飲み込まれて、そのまま消えてしまったのだ。
魔王は去り、国は助かり王もフレンドの命も助かった。もちろん国民も助かった。
救世主の剣で国は救えたけれど、肝心の救世主が消えてしまった。
みんなで必死に捜したそうだ。国中くまなく捜し、海から空から捜しまくって、アレックスも魔法の力をフルに使って捜したけれどどこにもいなかった。シルフィンとフレンドは抱き合って毎日泣いたそうだ。想像するとこっちまで泣けてきそう。
「ずっと身に着けてくれてありがとう」リアムは私の左手の中指にキスをする。リアムのお母様の形見である大切な銀の指輪。私は肌身離さず着けいてた。
「アレックスがリナの気配をこれで見つけた。こっちの世界に飛ばされたとわかったのも、この指輪のおかげだったから」
「リアムのお母様の指輪が私達を繋げてくれたんだ」
そう思うと感慨深い。リアムは百合の紋章が描かれている指輪のをそっと撫で、私の頬にキスをする。
「何があろうと連れて戻る予定だったけど……リナは覚えているだろうか?『自分が居ない間、あちらの世界はどうなっているんだろう』と俺に聞いていたよね」
「うん。たぶんもうひとりの私が居て、そのまま何事もなく暮らしているだろうと答えてくれた」
「そう思っていたのだが、リナが戻ったのはこちらにトリップした場面だった。私達と過ごした時間はカウントされてない」
たしかに、私は夏をあちらとこちらで二度過ごしていた。
「俺たちの考えは間違っていた。リナを連れて戻るにはひとつのミスも許されない。だから慎重に動かなければ全てが狂うから、俺達は色々と考えた。どうやってリナを連れ出そうかと。自分たちの世界でリナの行動を追い、この世界を調べていたら……リナが母親と電話をしていた」
「こっちから連絡しないから、よくかかってくるんだ」
恥ずかしそうに答えてしまう。そんなことまで知っているの?ずっと見ていたのかな。もう大人だけどいつまでたっても親は親で子供は子供なんだよね。よく連絡を取り合っている方だと思う。
「それを見ていて、もしかしたら……リナを俺達の世界に連れて行ったら……そんな時間も失うんじゃないかと思った」