「どうしたの?」お偉いさんたちの中で自分の部下を見つけ、驚きながら手招きをする課長。
「すいません。あの……至急に経理課長に確認があって……」
 小声で言うと「ここまで?仕事熱心だね。経理の小沢課長は……いないかな?」
 一生懸命周りを見てくれるけど、ごめんなさい課長。小沢課長は外回り中です。居ません。
「申し訳ありません。戻りますので」逃げて別の場所を探そうとしていると「いいよ。今、副社長が来るから一緒に出迎えよう」と、優しい言葉をかけてくれた。
 あなたの部下でよかったよ。ありがとう課長。私はそのまま頭を下げて、課長の後ろに移動すると何やら奥の方で動きがあった。

 来た!絶対来た!
 副社長のアレックスの登場だ!
 さて、どんな顔でお出迎えしましょうか。こんないい場所でお出迎えなんてラッキーです。社長と一緒にこちらに歩いてくる気配がする、機嫌良く声も明るく楽しそうな雰囲気。私は少し背を伸ばし、ご機嫌な社長の後ろに立つ男性の顔を捜す。
 久し振りだね王様。この状態をどう説明します?私はあなたの登場を待ってましたよ。全て話して下さい。

 リアムはどこにいるの?
 私がジッと見つめた男性は、私の目線を感じたのか部長と挨拶していた身体をこちらに向ける。

 背が高くて黒く短めの髪。
 肩幅もありブランドスーツがよく似合う
 端整な顔をした男性は






 アレックスじゃなくて




 リアムだった。