その夜
 寝返りを打つと、ベッドの隣に人の気配あり。シャワーを浴びた後なのか、爽やかなバラの香りがするリアムがいた。いつの間にもぐり込んだのだろう、熟睡していて気付かなかった。そして彼は全裸だった。この時代の男性ってこうなのかな?アレックスはレースのパジャマが似合いそうだけど。私の気配に彼も気づいたのか、閉じていた目を開いて私を見る。
「パジャマ着ないの?」
「パジャマとは?」
「いいです」
 ゴソゴソと深く甘えて彼の腕の中に潜る私。引き締まった腕と胸が素敵です。背が高くてスラッとしてるから、あまり筋肉とか軍服の上から感じなかったけれど、さすがたくましいね騎士団長様。愛する人の腕の中は最強です。リアムは私を抱きしめて額にキスをする。

「私を助けてくれてありがとう」
「巻き込んで悪かった」
「アレックスの言葉が胸に響いた。大切な兄弟を失って忠実な部下を持った……って言葉。アレックスは寂しかったのかも。リアムが急に遠い存在になった気がしたのかな」
「そうかもしれない。俺はアレックスに大きな傷を負わせてしまったから、強くなって王を守ることしか考えつかなかった」
「でもそれは仕方ないよ。リアムも子供だったし自分だってご両親を失ったばかりで、何をどうしていいのかわからないのだから」私なら絶対パニックになってしまう。
「そう言ってもらえると楽になる」
「リアムはアレックスと違って、身体も心もガチガチしてるもん」
「ガチガチ?アレックスが開放的すぎる」
「それは言える」
 ふたりで笑ってしまう。アレックスはくしゃみしてるかな。