私を守ってくれたのは──…
ずっとずっと、探して、一晩中私の傍にいてくれた人。壱成さんがいなかったら今頃、私はまだあの駅のロータリーにいたかもしれない。


「それでも、私は何もしないでって壱成さんを拒絶したの…」

「うん」

「それなのに、また会いたい、って、虫が良すぎると思うの…」

「佳乃の気持ちは分かる。でももっとお前もわがままになっていいと思う」


──わがまま?


「…さっきも様子見って言ったけど、あいつらの根本的な性格は変わらないから気をつけた方がいいし、何か起きそうなら反抗したっていい」

「でもそれじゃあ、お兄ちゃんが悪く言われる」

「それは脅しだ。そう佳乃に言えば、あいつらは佳乃が大人しくなるって分かってる。脅してるのと変わらない」

「…でも」

「…いいか佳乃」

「……」

「さっきも言ったように、お前は自由」


──…自由…。


「今度は佳乃が考えて、行動していいんだよ」


私が考えて、行動する?
私自身が、何も縛られず、自由に行動をしていいと?


「昨日の夜、家に帰りたくないって言ったのが、〝本物の佳乃〟なんだから」