翌朝、鈴煉が持ってきてくれた菊柄の着物に袖を通して、着物に合う髪型にしてもらう。

「とてもよくお似合いです」
「本当ですか?」
「はい」

とても真剣な表情で言ってくれるので、少し気恥しいが、似合っているのは純粋に嬉しい。

「ありがとうございます」
「玄関で裕太様がお待ちです。参りましょう」

茉結はこくりと頷き、鈴煉について行った。
玄関に行くと、裕太がこちらに笑顔を向けながら待ってくれていた。

「わっ……!」

昨日着ていた袴姿を見た時にも思ったが、裕太は本当に格好いい。
背も高く、スタイルのいい彼はきっと何を着ても似合うだろう。

思わず見惚れていると、裕太がこちらへ近付いてきた。

青い瞳がスッと細められて、綺麗な笑みを浮かべる。

「うん。やっぱり似合ってる。凄く可愛い」
「あっ、ありがとう……。その、ゆうくんも格好いいよ」

嬉しさ半分、恥ずかしさ半分で顔が熱くなる。

「ありがとう」

裕太はとても嬉しそうな顔で微笑んだ。

「裕太様。仲が良いのはよろしいですが、お出かけの時間です」

周りからの温かい視線にハッとする。

「ああ、そうだね。行こうか」
「う、うん。行ってきます」
「「「行ってらっしゃいませ」」」

見られていたことが少し恥ずかしくて、俯きがちになりながら外に出た。

「お屋敷も凄いけれど、やっぱりお庭も広いね。他のあやかしのお家もこれくらい広いの?」
「どうだろう。他の神使たちの家に行くことがあまり無いからね。神々が出雲へ集まる十月とかは、それぞれの神使の代表たちと会う機会はあるけど」
「神使の代表?」
「ああ、その辺の説明をしてなかったのか……。とりあえず、町を案内するね。どこか座って話せるところで話すよ」
「わかった」

裕太に手を引かれ、敷地を出る。