読書兼相談部の、読書したり相談を受けるというのはあくまで建前であり、毎日の参加義務も時間設定も設けていなかった。つまり好きな時間に帰れるし、学校が定めている部の活動終了時刻の午後七時までは、まったり話しをしながら好きに過ごすことが出来るのだ。

 拓斗が漫画を読んでいる間、理樹も前世の頃から趣味の一つであった読書をし、眠気を覚えたら仮眠を取った。最近は夢見も悪く眠りも浅くなっていたから、煩わしい視線もない部室で、好きに時間を使ってくつろげる時間は有り難かった。


 部活動中は沙羅が突撃してくることもなく、彼女が好きすぎる友人のレイが飛び込んでくることもない。
 放課後くらいは平穏な高校生活が送れそうだ、と思っていたのだが。


 いつも通り部室でくつろいでいた放課後、風紀委員会から呼び出しを受けた。

 一瞬脳裏を過ぎったのは、あの男装の一年生風紀部員、青崎レイの存在である。
 もしや彼女関連じゃないよなと思いながら、理樹は呼び出すために部室にやってきた二学年生の、風紀委員会の生徒専用の黒い制服で身を包んだ風紀部員についていった。