「そういや、沙羅ちゃんは調理部に入ったらしいぞ」
席について帰り支度を再開した拓斗が、ふと思い出したようにそう言った。
「今日、全然来ないなぁと思ってたらさ、申請書出しに行った時に一組のやつらがそう話してるのを聞いた」
「ふうん」
彼女がどこで何をしていようが、こちらとしては特に興味はない。今日は平和だと感じていた理樹は、拓斗の話しを聞きながら上の空で相槌を打った。
調理部か……。
彼女がスムーズに調理出来るイメージは、微塵にも湧いてこない。
ジャムを付けて食べる味のないスコーンを甘く作りたいのだ、といって挑戦した時は、未知の物体を作り出して「なんでぇぇえええ!?」と泣いていた。ひどく不味かった。
何味になるんだろうな、と思いながら食べていたら、食べさせるために作ったはずのそれを、今度は「食べないで」と慌てたように言ってまた泣いた。相変わらず、よく分からない女だなと思いながら全部食べたものだ。
席について帰り支度を再開した拓斗が、ふと思い出したようにそう言った。
「今日、全然来ないなぁと思ってたらさ、申請書出しに行った時に一組のやつらがそう話してるのを聞いた」
「ふうん」
彼女がどこで何をしていようが、こちらとしては特に興味はない。今日は平和だと感じていた理樹は、拓斗の話しを聞きながら上の空で相槌を打った。
調理部か……。
彼女がスムーズに調理出来るイメージは、微塵にも湧いてこない。
ジャムを付けて食べる味のないスコーンを甘く作りたいのだ、といって挑戦した時は、未知の物体を作り出して「なんでぇぇえええ!?」と泣いていた。ひどく不味かった。
何味になるんだろうな、と思いながら食べていたら、食べさせるために作ったはずのそれを、今度は「食べないで」と慌てたように言ってまた泣いた。相変わらず、よく分からない女だなと思いながら全部食べたものだ。