手紙に書いてあった呼び出しの件については、面倒なので黙っていることにした。言いたいことがあるのなら、そのまま発散させた方がいい。彼女たちは意見を求めているのではなく、話を聞いて欲しい時が多いというのは前世での経験で分かっていた。

「レイちゃんは、私の一番の親友なんです。強くて、可愛くて……」

 そう言いかけて、沙羅の言葉が弱々しくなって途切れた。

 恐らく膨れる感情の整理がつかないのだろう。そう推測すると、話を促してやれるような言葉も浮かばず、理樹はネクタイを締め直す作業を続けながら「そうか」とだけ言った。

「…………だって、レイちゃんは、とても可愛いもの」

 唐突に、彼女の声色が鼻声に変わった。ネクタイを整え終わった理樹は、疑問を覚えて目を向けたようとしたのだきが、顔を上げた時には、沙羅がベッドのスプリングを軋ませて肩が触れるほど近い隣に腰かけてきていた。