すると、途端にレイが「僕は変態じゃないッ」と、そこだけはキレイに聞き届けた様子で怒鳴った。ますます面倒臭ぇな、と理樹は思った。

「こうなったらタイマンでの決闘を挑む! お前が沙羅ちゃんを見て、むっつりスケベぇに興奮していると思うと我慢ならないし、実に羨ましい!」
「おい。いけない本音が口から飛び出してるぞ」
「問答無用!」

 直後、レイが瞬時に無駄のない攻撃の構えを取った。

 それを目にした理樹は、どうしてこんな華奢な少年が荒事もあるとい風紀委員会への所属が決定したのか理解し、「マジかよッ」と口角を引き攣らせた。前世の記憶から、それは体術を習った人間特有の見事な型だと分かったからだ。

 こちらが身構える時間も与えず、レイが殴りかってきた。理樹は舌打ちしつつ、間一髪のギリギリのところで身をかわした。

 自分はプロではないので、手を抜いたら確実に痛い目を見るだろう。こうなったら、仕方ないが出来る限り必要最低限で相手の動きを抑える方法を取るしかない。